急性四肢虚血の治療のための経皮的血栓除去術(血栓除去術)と超音波で加速して血栓を溶解する方法(超音波加速血栓溶解術)の利点とリスクは?

要点

しっかりとしたエビデンスがないため、急性四肢虚血の初期治療としての経皮的血栓除去術(皮膚に針を刺して血栓を除去する方法で、経皮的血栓除去術として知られている)や超音波加速血栓溶解療法(特定の装置で超音波を血管内に送り込み、血栓の溶解を促進する方法)の利点とリスクは不明である。

この分野の今後の研究では、血栓除去、カテーテルを用いた血栓溶解療法(血栓に薬剤を注入して溶解する)、開腹手術(血栓を除去して血流を改善する)などの治療法の有効性や、これらの治療法による望ましくない影響を調査することが必要である。

急性四肢虚血とはどのようなもので、どのように治療するか?

急性虚血は、四肢に発生する一般的な疾患である。急性四肢虚血は、四肢の血流が突然著しく低下することによって起こり、痛み、麻痺、蒼白、冷感などの症状が現れ、重症の場合は切断に至ることもある。

急性四肢虚血の初期管理のための標準的な治療法は、開腹手術とカテーテルを用いた血栓溶解療法である。急性四肢虚血の初期管理には、経皮的血栓除去術や超音波加速血栓溶解療法などの治療法がある。

何を知りたかったのか?

経皮的血栓除去術や超音波加速血栓溶解療法が、カテーテルを用いた血栓溶解療法や開腹手術に比べて、血流を改善し、切断や出血などのリスクを軽減する点で優れているかどうかを調べたいと思った。

何をしたのか?

成人の急性四肢虚血を対象に,経皮的血栓除去術または超音波加速血栓溶解療法を検討し,これらをカテーテルを用いた血栓溶解療法または開腹手術と比較したランダム化比較試験を検索した。ランダム化比較試験では、人々が受ける治療や検査が無作為に決定されるため、通常、治療効果について最も信頼できるエビデンスが得られる。研究結果を比較して要約し、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスの確実性を評価した。

何がわかったのか?

急性四肢虚血の60人を対象とした研究が1件見つかった。この試験は30日間行われ、超音波加速血栓溶解療法とカテーテルによる血栓溶解療法を比較した。今回の研究では、超音波加速血栓溶解療法がカテーテルによる血栓溶解療法と比較して、血流に影響を与えるかどうかがわかるような結果は示されておらず、これらの治療法が切断や出血などのリスクに影響を与えるかどうかは不明である。この所見は非常に不確かなものである。

エビデンスの限界は何か?

対象者がどのような治療を受けたかを認識していた可能性があるため、エビデンスとしてはあまり確信がない。この研究では、治療法の重要な効果(血流)に関する情報は得られず、また、この研究では少数の人しか参加していなかった。

このレビューの更新状況

エビデンスは、2021年3月までのものである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳 [2022.02.13]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013486.pub2》

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