プラバスタチンによる脂質低下

要点

- プラバスタチンは低比重リポ蛋白コレステロールを減少させ、その効果は5mgから160mgの範囲で用量に依存する。

- プラバスタチンは80mg/日が認可された最大用量である。

- このレビューの著者らが行った他の系統的レビューによれば、プラバスタチンのコレステロールに対する効果はフルバスタチンと同様であり、他のスタチンよりもコレステロールに対する効果は低い。

コレステロールと血中脂肪とは何か?

コレステロールはすべての動物の細胞膜を作り、維持するために必要であり、人間の生命維持に不可欠である。コレステロールの主成分は、低比重リポ蛋白、高比重リポ蛋白、トリグリセリドである。低比重リポ蛋白は、血液中で脂肪分子を体中に運び、脂肪分子を細胞に送り込む。高密度リポタンパク質は、細胞から脂肪分子を除去し、肝臓に運ぶ。コレステロールとその成分である低比重リポ蛋白コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロールは血液中で測定することができる。トリグリセリドはすべてのリポ蛋白に含まれ、血液中でも測定できる。血液中の脂肪は、心臓や血管に影響を及ぼす有害事象に関係していると考えられている。

プラバスタチンとは?

プラバスタチンは、血中コレステロールを低下させるスタチンと呼ばれる薬物群のひとつである。他のスタチンとは?スタチンは望ましくない影響を生じるか?

知りたかったこと

プラバスタチンの用量の違いは、血液中の脂肪にどのような影響を与えるのか?

実施したこと

プラバスタチンと非活性型治療薬(プラセボ)を3~12週間にわたって比較し、血中のコレステロールとその他の脂肪を測定した研究を検索した。どれだけの人が好ましくない影響のために研究を離れたかを調べることによって、好ましくない影響を評価した。参加者の組み入れに関しては、心血管疾患の有無を問わず、年齢を問わず検討した。

わかったこと

その結果、9,771人を対象にプラバスタチンの異なる用量の効果を検討した64件の試験が見つかった。

主な結果

プラバスタチンを1日5mgから160mg服用した人の低比重リポ蛋白コレステロールは18.3%から35.3%低下した。

これらの短期試験では、プラバスタチンとプラセボとの間の望ましくない影響の差は不明であった。

エビデンスの限界

多くの研究では、好ましくない影響や、好ましくない影響のために研究を中断した人の数が報告されていない。

このレビューの更新状況

エビデンスは2021年9月時点のものである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2024.04.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013673.pub2》

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