緊急避妊のための黄体ホルモン子宮内避妊具と銅製子宮内避妊具の比較

このレビューの重要性

緊急避妊(EC)には利用できる選択肢が少ないため、このレビューは重要である。銅製子宮内避妊器具(Cu-IUD)は、現在利用可能なECの中で最も効果的な方法であるが、その使用と普及率は低い。レボノルゲストレルIUD(LNG-IUD)が他のECの方法と同程度に有効かどうか、文献を調査した。もし、ECの有効性が確認されれば、ECを希望する女性の選択肢の幅が広がるだろう。

エビデンスの特定および評価を行った方法は?

ランダム化比較試験については、9件の医学研究データベースと2件の臨床試験登録を検索し、灰色文献(すなわち、従来の商業的・学術的な出版・流通経路以外の組織によって作成された研究)については、1件のウェブサイトを検索した。

黄体ホルモン含有IUDと銅含有IUD、または緊急避妊のための経口EC法を比較したランダム化および非ランダム化研究を検討した。

検索で確認されたすべての抄録と、可能性のある報告の全文をスクリーニングした。バイアスのリスクを評価し、GRADEシステムを用いてエビデンスの確実性を評価した。

わかったこと

2828件の記録が確認された。重複を除外し、組み入れ基準を適用した結果、基準を満たすランダム化比較試験が1件あった。711人の女性を対象とし、ECのためのLNG-IUDとCu-IUDを比較した。LNG-IUD使用者とCu-IUD使用者の間で、1か月後の妊娠率にほとんど差はないかもしれないが、エビデンスについては非常に不確かである。また、挿入失敗のリスクが2種類のIUDで異なるかどうかについても、エビデンスは非常に不確かであった。

ECのための2種類のIUDの受容性の差については、エビデンスが非常に不確かである。有害性に関する結果については、確実性の低いエビデンスから、銅製IUDはけいれんを増加させる可能性があり、LNG-IUDは出血や斑点出血の日数を増加させる可能性があることが示唆されている。

この結果が意味すること

現在のところ、ECに対するLNG-IUDの有効性に関する決定的なエビデンスはない。

LNG-IUDがECに対してCu-IUDと同等の効果があるかどうかを確認するためには、さらなる比較研究が必要である。

本レビューの更新状況

エビデンスは2022年7月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2023.07.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013744.pub2》

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