レビューの目的

このコクランレビューの目的は、小児（0歳～18歳）の身体的に異常がない慢性便秘の治療にプロバイオティクスが使用できるかどうかを調べることである。

この目的を達成するために、14件の研究から得られたデータを解析した。

要点

身体的に異常がない慢性便秘の治療を受けた子供の排便頻度についてプロバイオティクスとプラセボを比較した場合、結論を出すことはできなかった。2つのグループの間で治療の成功率に差がない可能性がある。

プロバイオティクスと下剤を併用した場合と、下剤のみを使用した場合を比較すると、排便の頻度や治療の成功率に差がない可能性がある。

排便回数や治療の成功率について、プロバイオティクスと酸化マグネシウムを比較した場合、結論を出すことはできなかった。

シンバイオティクス製剤（プロバイオティクスとプレバイオティクスの組合せ）を投与された小児では、プラセボと比較して排便の回数が多い可能性がある。

プロバイオティクス製剤とプラセボを比較した場合、有害事象による試験参加者の脱落におそらく差はない。

その他の比較対象については、試験から離脱した人の数が少なかったため、安全性についての結論は出なかった。

レビューでは何が検討されたか？

小児はしばしば便秘に長期間苦しむことがり、根本となる身体的な原因が見つからない場合、それは「機能性便秘」と呼ばれる。

プロバイオティクスやシンバイオティクス製剤は、このような子どもたちの症状改善に役立つ可能性が示唆されている。プロバイオティクスは、消化器系に有益であることが提唱されている生きた細菌を含む製剤である。また、シンバイオティクスには、これらの菌の増殖をサポートする食品物質も含まれる。

しかし、それが本当なのか、どのように使うのが最適なのかについては、今のところコンセンサスが得られていない。

レビューの主な結果は何か

身体的に異常のない慢性便秘の子どもを対象に、プロバイオティクスまたはシンバイオティクス治療とその他の治療（ダミー／プラセボ治療など）を比較した無作為化対照試験（無作為化法により参加者を2つ以上の治療群のいずれかに割り付ける試験）を検索した。その結果、18歳未満の参加者1127人を含む14件の試験が見つかった。その結果、次のような結論に達した。

- プロバイオティクスとプラセボを比較した場合、治療の成功率に差がない可能性がある。
- 排便の回数に差があるかどうかについては、結論を出すことができなっかた。
- プロバイオティクスと下剤の併用と下剤のみを比較した場合、治療の成功率に差がない可能性がある。
排便回数や治療の成功率について、プロバイオティクスと酸化マグネシウムを比較した場合、結論を出すことはできなかった。
- シンバイオティクスは、排便の頻度を改善するのにプラセボよりも優れている可能性がある。
- プロバイオティクスとプラセボ、プロバイオティクスと下剤と下剤だけの比較では、副作用のために試験を中止した人の数に差はないかもしれない。
- しかし、研究対象が少人数であることや、いくつかの手法の詳細が不明であることから、信頼性には限界がある。

すべての分析は、特定のプロバイオティクスや比較対象となる治療法の違い、研究に参加した子どもの数の少なさ、そして最も重要なこととして、治療の成功の指標としたものがさまざまであったため、限界があった。このため、研究を組み合わせることが難しく、このレビューの核心となる疑問に答えるには限界があった。

次に求められること

プロバイオティクスが小児の便秘にどの程度有用であるかは、今後の研究が必要である。研究者は、プロバイオティクスを第一選択の治療法とするのか、他の治療法に追加するのか、他の治療法が失敗した後の第二選択とするのか、あるいは上記のすべてを組み合わせた治療法とするのか、合意する必要がある。

今後の研究では、これらの結果が将来のレビューの裏付けとなるように、同じ項目（コア・アウトカムセットと呼ばれる）を測定する必要がある。

このレビューの更新状況

このレビューは2020年6月現在のものである。