コルヒチンはCOVID-19患者に有効な治療法か?

要点

○中等症から重症のCOVID-19入院患者において、コルヒチンはおそらくほとんど、または全く効果がない;その副作用については不明である。

○症状のない、または軽症のCOVID-19非入院患者において、コルヒチンが死亡や副作用を防ぐかどうかは不明であるが、おそらく入院の必要性や死亡、重篤な副作用をわずかに減少させる。

○ 今後の試験では、症状がない、または軽症のCOVID-19に加えて、重篤ではない副作用を持つ患者のQOL(生活の質)を評価し、コルヒチンを副腎皮質ステロイドなど他のCOVID-19治療薬と比較する必要がある。

コルヒチンとは何か?

コルヒチンは、腫れや炎症を抑える薬で、結果的に痛みを和らげる効果がある。関節が腫れて痛む痛風の治療によく使用される。一方、コルヒチンは、腎臓や肝臓など健康状態に問題がある人や、その服用量が多すぎる人には有害な場合がある。

コルヒチンはどのようにしてCOVID-19を治療するのか?

コルヒチンは抗炎症薬なので、研究者はCOVID-19による炎症を抑えることができるかどうかに興味がある。

何を知りたかったのか?

COVID-19患者にとってコルヒチンが有効な治療法であるかどうかを、プラセボ(見た目や味はコルヒチンと同じだが有効成分が含まれていない治療法)や標準治療のみと比較して知りたかった。病院で治療を受けている中等症または重症の患者、地域で治療を受けている軽症の患者を対象にした。このレビューでは特に、コルヒチンの下記の効果に興味があった。

○死亡者数;

○状態が悪化したか、改善したか;

○QOL(生活の質);

○ 重篤な副作用と重篤ではない副作用。

何をしたのか?

コルヒチンと標準治療を併用した場合と、標準治療(プラセボ(偽薬)を使用する場合と使用しない場合あり)を比較した試験を検索した。試験は国を限定せず、年齢、性別、人種を問わず、軽症または全く症状のない人、中等症または重症のCOVID-19患者が対象であった。

試験の結果を比較、要約し、試験方法や規模などの要因から、エビデンスに対する確信性を評価した。

何がわかったのか?

4件の適格なランダム化比較試験を同定した。3件は11,525人の入院患者を対象とし、1件は4,488人の非入院患者を対象とした。入院患者の平均年齢は64歳、非入院患者の平均年齢は55歳であった。コルヒチンと標準治療を、標準治療のみと比較した試験が2件、コルヒチンを、標準治療およびプラセボと比較した試験が2件あった。どの研究もQOL(生活の質)を報告していなかった。また、現在進行中の試験が17件、終了しているが未発表の試験が11件見つかった。

主な結果

中等症から重症のCOVID-19入院患者(3件の試験、11,525人の参加者)

○コルヒチンは投与後28日間の死亡をおそらく減少させない(2件の試験、11,445人の参加者)。

○コルヒチンは、患者の状態悪化を恐らく防止できず(2件の試験、10,916人の参加者)、そして、恐らく状態を改善できない(1件の試験、11,340人の参加者)。

○コルヒチンの副作用及び重篤な副作用への影響については、非常に不確実である(2件の試験、177名の参加者)。

症状がない、または軽症のCOVID-19に感染した非入院患者(1件の試験、4488人の参加者)

○コルヒチンが投与後28日までの死亡を予防するかどうかは不明である。

○コルヒチンは、入院または死亡のリスクをおそらくわずかに減少させる。

○コルヒチンの副作用への影響は不明であるが、おそらく重篤な副作用をわずかに減少させる。

エビデンスの限界は何か?

エビデンスの確実性は限定的である。2件の研究ではプラセボ(偽薬)を使用していなかったため、誰がコルヒチンで治療を受けたかを誰もが知っており、結果に影響を与える可能性があった。入院していない患者において、入院や死亡のイベントが少なすぎて、エビデンスを確実とすることができなかった。望ましくない効果の評価と報告の方法が試験間で異なっていたため、研究を一つの結果にまとめて判断することができなかった。

レビューの更新状況

エビデンスは、2021年5月21日までのものである。

編集者注:これはリビングシステマティックレビューである。毎週、新しいエビデンスを検索しており、関連する新しいエビデンスが見つかった場合はレビューを更新する。このレビューの現在の状況については、Cochrane Database of Systematic Reviewsを参照されたい。

訳注: 

《実施組織》堺琴美、阪野正大 翻訳[2021.10.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD015045》

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