臨床試験結果の公表までの時間

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この方法論レビューの目的は、臨床試験結果の公表に要する時間が、その結果の統計的有意性(タイムラグ・バイアス)に影響されているかどうかを評価することであった。肯定的な所見のある臨床試験を計画よりも早く中止し、無効な所見や否定的な所見のある臨床試験よりも早く発表すると、新しい介入が有効であると誤解されてしまう可能性がある。合計196件の試験を実施した2件の研究が、本レビューの包含基準を満たしていた。いずれの研究においても、試験の半分以上が完全な形で発表されていた。肯定的な結果が得られた試験(すなわち、試験の実験群に有利な統計的に有意な結果が得られた試験)は、約 4~5 年で発表される傾向がある。無効なまたは否定的な結果が得られた試験(すなわち、統計的に有意ではない、または対照群に有利な統計的に有意な結果が得られた試験)は、約6~8年後に発表された。ある研究では、この違いは、フォローアップが完了してから試験結果を公表するまでにかかった時間の長さに起因する可能性があることが示唆された。この研究では、無効な所見や否定的な所見のある試験は、肯定的な結果が得られた試験に比べて、平均して発表されるまでにかかる期間が1年以上長くなることが示された。我々のレビューでは、肯定的な結果が得られた試験は、無効または否定的な結果が得られた試験よりも早く発表されることが示されている。このことは、システマティックレビューの開始と更新のタイミング、特にレビューへの試験の組み入れとその公表状況との間に関連性がある場合には、重要な意味を持つ。少数の研究しか含まれていないレビューを検討する場合には、このことは特に懸念される。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2020.08.18]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000011.pub2》