この方法論レビューは、システマティックレビューに含めるべき研究の未発表研究(データ)や欠落データを得るためのさまざまな方法の効果を評価するために実施された。6件の研究が包含基準を満たし、欠損データを得るための異なる方法を評価していた。そのうち2件がランダム化研究、4件が観察的比較研究であった。
5件の研究では、欠落データ(すなわち、元の論文の著者から入手可能であるが、公表された研究では報告されていないデータ)を入手する方法を評価した。2件の研究では、電子メールによる研究の著者とのやりとりが、最も少ない試行回数と最も短い回答時間で最大の回答率をもたらしたことが明らかになった。欠落情報の単一リクエスト(電子メールまたは通常郵便)と多段階アプローチ(事前通知、欠落情報のリクエスト、積極的なフォローアップ)の効果の違いは、回答率と取得された情報の完全性においては有意ではなかった(1件の研究)。方法の明確化に関して問い合わせた場合(1 件の研究)は、データの欠落を問い合わせた場合よりも回答率が高かった。著名な署名者の存在は、著者が未発表情報の要求に応じる可能性に有意な影響を与えなかった(1件の研究)。1件の研究では、欠落データを取得するために行われた試行回数を評価し、要求された項目の数は回答が得られる確率に影響しないことが分かった。また、同じ方法で複数回試行しても、回答が得られる可能性は高くならなかった。
1件の研究では、未発表の研究(一度も発表されていない研究のデータ)を入手する方法を評価していた。未発表の研究を前もって特定し、さらに具体的な詳細を製薬業界に問い合わせることは、非特異的な依頼を送るよりも実りあることが示された。
システマティックレビューを実施する人は、特に古い研究については、この方法が必ずしも成功するとは限らないと認識した上で、データの欠落について著者に連絡を取り続けるべきである。電子メールで著者に連絡を取ることで、最も少ない試行回数と最短の回答時間で最大の回答率を得ることができる。
《実施組織》 阪野正大、岩見謙太朗 翻訳[2020.07.21]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000027.pub2》