MEDLINEおよびEmbaseにおける観察研究を発見するための検索戦略

背景

系統的レビューは、定義されたリサーチクエスチョンに答えるために、研究を集め、分析し、要約する。系統的レビュー由来のエビデンスは最も信頼できるエビデンスと考えられ、医療に関連した意思決定に必要な情報を得るためにしばしば用いられる。疾患の予後、原因、危険因子および合併症に関する系統的レビューには、特定の種類の研究デザイン、すなわち、観察研究が含まれる。文献の検索には通常MEDLINEとEmbaseというデータベースが使われており、系統的レビューのために確認すべき多くの論文が検索結果としてもたらされる。そのため、研究者は検索の焦点を絞るために、研究デザインに関連する用語のセット、すなわち方法論的フィルタを使用することが多い。しかしながら,これらの方法論的フィルタを使用すると、研究者は関連する研究を見落とすかもしれず、多くの無関係な論文を発見するかもしれない。フィルタの性能は、存在するすべての関連研究を検索する検索フィルタの能力である感度と、関連研究のみを検索する検索フィルタの能力である精度によって評価される。系統的レビューに観察研究からのエビデンスを含めることの重要性を考慮して、著者らは、医学文献の2つの主要データベース、MEDLINEおよびEmbaseにおいて観察研究を発見するための方法論的戦略を評価する研究を評価することを目的とした。

研究の特性

われわれは、6のMEDLINEフィルタ、6のEmbaseフィルタおよび6のMEDLINE/Embaseを組み合わせたフィルタを含む、18の方法論的フィルタについて報告している適格な研究を2つ見つけた。1番目の研究は、外科的介入の観察研究のフィルタに焦点を当てた。2番目の研究では、特定のサブタイプの観察研究、すなわち非ランダム化比較研究のフィルタに焦点を当てた。

主な結果

1番目の研究の6つのフィルタは99.5%から100%の感度と16.7%から21.1%の精度を示した。1つのタイプのフィルタを2つの追加の系統的レビュー(外部検証)によって評価し、このフィルタが参照基準に含まれる論文の85.2%から100%を検索することを見出した。第二の研究からの12のフィルタは、より低い感度(48%~100%)およびより低い精度(0.09%~4.47%)を有した。

エビデンスの質

含まれた研究にはいくつかの限界があった。1番目の研究では、検索戦略の開発のために1つの系統的レビューのみを使用し、外科的介入の観察研究に焦点を当てたが、これはこの研究結果を他の文献検索に適用する一般化可能性を限定する可能性がある。第2の研究の参照基準は、4つの異なる系統的レビューを含んでいる。しかし、この参照基準に含まれた研究の数が限られており、性能評価の精度に影響を与える可能性がある。どちらの研究も10年前に発表されたものであり、その後観察研究のラベリングと索引付けが変更された。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、増澤祐子 翻訳[2019.12.22]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《MR000041》

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