治療効果の推定値に関するアウトカムの中央判定と現場でのアウトカム評価の比較

多施設ランダム化比較試験(RCT)は、決定が主観的である可能性のある関連施設の評価者が報告した結果のみに頼るのではなく、中央機関において、患者が臨床イベントを経験したかどうか評価を受けることが広く推奨されている。これらの裁定委員会(AC)は、特に大規模な試験で一般的に使用される。たとえば、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、試験全体のアウトカム評価を調和させ、標準化するために、そのような委員会によるイベントの評価を推奨している。ただし、裁定委員会の利用を正当化し、臨床イベントの中央での裁定を実施する方法を決定する根拠が必要である。本研究は、RCTによって生み出された治療効果の推定値に対する中央の裁定の影響を評価するための、医療分野全体で最初の大規模なメタ解析である。裁定委員会からのイベントデータを使用する場合と、RCTの主観的アウトカムを現場で評価したデータを使用する場合を比較して、異なる治療効果の推定値が得られるかどうかを調査した。

裁定委員会を、アウトカム評価の調和と標準化を目指す特定の医療分野の臨床専門家の委員会として定義した。一方、現場での評価者は、研究者、研究看護師、データ収集者、またはRCT中にアウトカムの発生を現場で評価する患者自身である。現場での評価者は、割り当てられた治療について知らされている場合と知らされていない場合がある。現場での評価者と裁定委員会の両方によって評価された同じ主観的な2値の臨床イベント結果を報告している、すべてのRCTとすべての出版されたRCTのメタ分析を含めた。

裁定委員会と現場での評価の結果に違いがあるかどうかを確認するために、系統的レビューとメタアナリシスで47件のRCT(患者数275,078人)の結果を統合した。主観的な臨床イベントの治療効果の推定値が、平均して裁定委員会によって評価されたものと異ならないことが示された。現場での評価者がRCTで患者に割り当てられた治療法を知っているかどうか、および裁定委員会にデータを送信するさまざまな方法に関するサブグループ解析では、これらの要因に関して現場での評価と裁定委員会の評価の間に重要な違いがあることがわかった。2015年8月の時点での調査結果では、すべてのRCTで裁定委員会が適切に使用されているかどうかについては非常に不確実である。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、岩見謙太朗 翻訳 [2020.4.27]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000043.pub2》

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