超早期産前の女性にビタミンKを投与しても、超早産児の脳出血およびこれに関連する神経損傷のリスクは低下しない。
超早産児(34週目より前)は脳出血(脳室周囲出血)のリスクを有する。脳出血は脳損傷の原因となり、脳性麻痺などの神経障害を引き起こす。早産児は血液凝固因子の濃度が低い。一部の凝固因子は活性化にビタミンKを必要とする。したがって、ビタミンKは早産児の血液凝固に有用で、出血のリスクを低下させる。試験のレビューを実施した結果、ビタミンKを超早期産の直前に妊婦に注射しても児の脳室周囲出血リスクが低下するという知見は得られなかった。超早期産直前のビタミンK投与が児の発達に与える影響を評価するための、児の追跡データがほとんど得られなかった。8件の試験を組み入れたが、レビュー結果にデータを反映できたのは7件のみであった。この7件の試験の対象者は843名であった。試験の質は多様で、プラセボを使用した試験は2件のみであった。
プラセボを使用しなかった4件の試験では、ビタミンKを投与された女性は、投与されなかった女性と比較して出産前にコルチコステロイド投与を受ける割合が高かった。出産前のコルチコステロイド投与は、出血の発生割合を低下させることが知られている。1件の試験では、ビタミンKを投与された女性はフェノバルビタールを投与される確率も高かった。
2件の試験では、ビタミンKを投与した女性で発疹が認められた。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.11.22] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD000229.pub2】