食事による塩分制限は、喘息症状を改善するか?

最新文献でのレビューでは、食事による塩分制限は喘息症状に重大な影響を及ぼさないが、運動誘発喘息の肺機能測定結果を幾分改善する可能性があることが示唆されている。

著者の結論: 

本レビューでは、食事によるナトリウム摂取量の減少が喘息コントロールを有意に改善するというエビデンスは見出されなかった。食事によるナトリウム摂取量の減少が運動誘発喘息における肺機能の改善をもたらす可能性はあるが、この効果の臨床的有意性は不明である。

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背景: 

喘息の有病率には地理的に大きくばらつきがあり、観察研究において食事によるナトリウム摂取が影響している可能性が示唆されている。

目的: 

食事によるナトリウム調節が喘息管理に与える影響を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group asthma registerを用い検索を行った。包括されたランダム化比較試験(RCT)の参考文献から追加研究を検索した。最終検索日は2010年11月だった。

選択基準: 

喘息患者における食事によるナトリウム摂取量の減少または増加を伴うRCTのみを検討した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が研究を評価し、データを抽出した。平均差とランダム効果を用い、RevMan 5でデータ解析を行った。

主な結果: 

ナトリウム調整と喘息の関連性に関する計9研究を確認し、その内訳は、喘息に関する5研究(参加者318名)、運動誘発喘息患者に関する4研究(参加者63名)であった。塩分制限による喘息管理への有意な有益性は認められなかった。運動誘発喘息に関する研究から、低ナトリウム食により運動後の肺機能および基礎肺機能を改善する可能性を示すエビデンスがいくつか見られたが、ごく少数の参加者から得られた知見に基づくものだった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2017.11.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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