妊婦と赤ちゃんの健康を最善の状態にするために、どの程度のケアが必要であり、女性にとって何が役立つかのエビデンスを考慮せず、出産前(妊娠中)のケアの一部として、妊婦の定期的な健診回数は決められてきた。これらの健診には、検査、教育、その他の健康診断が含まれる。 レビューでは、標準的ケアを受けている女性と、妊娠中の健診を標準よりも少ない回数で受診している女性を比較した研究を検討した。 6万人以上の女性を含むランダム化比較試験7件を包含した。研究のバイアスのリスクを評価し、エビデンスの質に等級をつけた。試験は、高所得国 (4試験) と低中所得国 (3試験)で実施された。高所得国では、妊婦健診の回数は約8回に減らされた。低所得国では、健診回数を減らした群の多くの女性が、5回未満しかケアを受けなかったが、健診の内容は特定の目標に焦点を合わせるように変更された。このレビューでは、早産または低出生体重児の発生について、標準ケアと比較して、妊婦健診の受診数を減らした群に違いがあるという強固なエビデンスはなかった (中等度の質のエビデンス)。しかしながら、これらの試験から、低中所得国では妊婦健診回数の減少によって、新生児集中治療室への入院は減少するかもしれない(ただしこの結果に対するエビデンスは高くない)一方で、周産期死亡率については増加する可能性(低度の質のエビデンス)があるといういくつかの根拠も示された。母体死亡および妊娠高血圧症候群 (妊娠高血圧腎症を含む) を含む、主要なアウトカムに対し、群間に明らかな違いはなかった。どの条件の女性においても、妊婦健診回数を減らすと満足度がより低くなるというエビデンスがあった。一部の女性は健診の受診間隔があまりにも長いと感じていた。妊婦健診回数の減少は、コストの削減につながる可能性がある。
《実施組織》 増澤祐子、豊本莉恵 翻訳 [2020.03.15]
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