季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンを注入する免疫療法

著者の結論: 

適切に選択された季節性アレルギー性鼻炎患者に対する特異的アレルゲン免疫療法の結果、症状スコアおよび薬物使用の有意な減少が示された。注射による免疫療法には、既知の有害事象があるが、重度の有害事象を生じるリスクは比較的低い。有害事象による長期の転帰は見当たらなかった。

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背景: 

アレルギー性鼻炎は最も有病率の高いアレルギー性疾患である。アレルギー性鼻炎の病態の理解が進み、薬物療法が進歩したにもかかわらず、世界的にその有病率が上昇している。内科的治療にもかかわらず症状がコントロールされないままの患者に対し、アレルゲンを注入する免疫療法が推奨されている。アレルゲンをベースとする治療は、症状、投薬の必要性を軽減し、本疾患の自然経過を変える可能性がある。

目的: 

季節性アレルギー性鼻炎患者における症状および投薬の必要性の軽減に関するアレルゲン免疫療法(皮下注射)の有効性および安全性をプラセボと比較評価する。

検索戦略: 

Cochrane Ear, Nose and Throat Disorders Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)(コクラン・ライブラリ、2006年第1号)、MEDLINE(1950年から2006年)、EMBASE(1974年から2006年)、Pre-MEDLINE、KOREAMED、INDMED、LILACS、PAKMEDINET、Scisearch、mRCTおよびNational Research Registerを検索した。最終検索日は2006年2月であった。

選択基準: 

検索によって同定したすべての研究を評価し、季節性アレルギー性鼻炎の症状およびアレルゲン感受性が明らかにされアレルゲン特異的免疫療法(皮下注射)または対応するプラセボで治療された参加者を対象としたランダム化比較試験を同定した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に、本木植物、イネ科草木植物または雑草木植物に起因する季節性アレルギー性鼻炎患者に対する特異的免疫療法についての二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を報告しているすべての研究を同定した。2名のレビューアが別々に、研究の質について評価した。同定された研究からのデータを標準抽出シートに要約した後、RevMan 4.2.8に入力した。標準化平均差(SMD)法およびランダム効果モデルを用いて解析を行った。P値<0.05を統計学的有意とみなした。主要アウトカム指標は、症状スコア、薬剤使用、生活の質(QOL)および有害事象であった。

主な結果: 

1111件の発表文献を検索し、内51件が選択基準を満たした。参加者は計2871例(実薬1645例、プラセボ1226例)であり、各参加者は平均18回の注射を受けていた。免疫療法の期間は、3日から3年であった。15件の試験の症状スコアデータはメタアナリシスに適しており、免疫療法群における全体的な減少を示していた(SMD-0.73(95% CI-0.97から-0.50、P<0.00001))。13件の試験の投薬スコアデータにより、免疫療法群における全体的な減少が示された(SMD-0.57(95% CI-0.82から-0.33、P<0.00001))。効果サイズについての臨床的な解釈は困難である。実薬治療群の0.13%(14085回の注射中19回)およびプラセボ群の0.01%(8278回の注射中1回)に対し、有害事象の治療目的でアドレナリンが投与された。死亡例はなかった。

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