十分なエビデンスが認められなかったことから、喘息における心理学的介入の役割について本レビューから確固たる結論を導くことはできなかった。成人の喘息治療におけるこうした介入法の効果を判断するためには、大規模なランダム化試験を適切に実施し、適切に報告する必要がある。
喘息をもつ人は多く、心理的因子がきっかけとなって症状が現れる人もいると考えられる。さらに、内科的療法の遵守には心理的要素が関与している可能性も考えられる。このため、症状の負担を軽減し、喘息の管理を改善することを目的として、心理学的介入が行われている。
喘息を有する成人のための心理学的介入の有効性を評価する。
所定の用語を用いて、2005年8月までのCochrane Airways Group Specialised RegisterおよびPsycINFOを検索した。
成人参加者を対象とし、対照治療と比較しながら心理学的介入の有効性を評価しているランダム化比較試験。発表された言語は問わない。
2名のレビューアが、電子的検索によって同定した抄録の妥当性を評価し、一致した研究を検索して詳細を調査した。選択基準に適合した研究を集め、データを抽出した。
617名の参加者を含む14件の研究を本レビューに組み入れたが、研究の品質は不良でサンプル・サイズが小さい研究が多かった。そのなかでいくつかの研究を統合し、効果を解析した。2件の研究(患者47名)では、リラクゼーション療法により「必要時投与の」薬剤の使用回数が減少していた(OR 4.47、CI 1.22~16.44)。患者150名を対象とした4件の研究では、リラクゼーション療法によりFEV1に有意差は認められなかった(SMD-0.01、CI -0.41~0.40)。2件の研究(患者48名)では、喘息QOL質問紙法で測定したQOLがCBTによりよい効果を示していた(WMD 0.71、CI 0.23~1.19)。2件の研究(患者51名)では、最大呼気流量アウトカムデータに有意差が認められ、バイオフィードバック療法に有利な結果が示されていた(SMD 0.66、CI 0.09~1.23)。このほかの所見については研究間で一致していなかった。これは、介入の種類が異なることと試験デザインの欠陥によるものであると考えられる。