現時点でのデータは、2つの方法による利尿薬の静脈内投与の利点について信頼に足る評価を下すには不十分である。小規模で比較的異質な研究からは今回のレビューにより、ループ利尿薬を持続注入した方が利尿に優れ、安全性プロフィールが良好であることが示された。これまでのデータからは臨床診療に関し明確な勧告を行うことはやはりできない。この問題の十分明確な解決のためには、さらに大規模な研究を実施すべきである。
ループ利尿薬は、急性非代償性心不全に対して間欠的にボーラス注入すると、血管内容量の変動、毒性の増加、耐性の出現を引き起こすことがある。これらの合併症を回避し利尿を増やすために持続注入が提唱されたが、できればより迅速に症状が消失し、罹病率と、場合によっては死亡率も低下することが期待されている。
クラスIII~IVのうっ血性心不全患者を対象にループ利尿薬の持続点滴静注の効果と有害作用をボーラス静脈内投与の場合と比較する。
Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2003年第2号)、MEDLINE(1966年から2003年)、EMBASE(1980年から2003年)およびHERDINデータベースを検索した。また、製薬企業に問い合わせた。
うっ血性心不全を対象にループ利尿薬の持続点滴静注の有効性をボーラス静脈内投与と比較しているランダム化比較試験を含めた。
2名のレビューアが独自に研究の適格性、方法論の質を評価し、データを抽出した。選択した研究の妥当性を評価した。可能な場合は著者に問い合わせた。有害作用に関する情報を試験から収集した。
患者254例が対象となる8件の試験を含めた。尿量を報告した7件の研究では、持続注入を行った患者の方が尿量(cc/24時間で測定)が多く、重み付け平均差(WMD)は271cc/24時間であった(95%CI 93.1~449;p<0.01)。電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症)は2つの治療群の間で有意差はなく、相対リスク(RR)は1.47であった(95%CI 0.52~4.15;p=0.5)。持続注入の方が有害作用(耳鳴および聴力低下)が少なく、RRは0.06であった(95%CI 0.01~0.44;p=0.005)。1件の研究によると、持続注入によって入院期間が有意に3.1日短縮し、WMDは-3.1であった(95%CI -4.06~-2.20;p<0.0001)。一方、2つの治療群の間で心死亡率にも有意差があり、RRは0.47であった(95%CI 0.33~0.69;p<0.0001)。また2件の研究によると、全死亡率は2つの治療群の間で有意差があり、RRは0.52であった(95%CI 0.38~0.71;p<0.0001)。
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