流産予防のための妊娠中の床上安静

著者の結論: 

妊娠前半に胎児生存性が確認され、膣出血のある女性において、流産を防止するための床上安静の方針を支持する質の高いエビデンスは十分でない。

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背景: 

流産は妊娠期間23週前の妊娠喪失である。妊産婦年齢や経産によって10~15%の妊娠で起こる。約2分の1~3分の2の症例で染色体異常と関連する。流産を防止するために多くの介入が用いられているが、床上安静が、特に切迫流産や流産の既往がある症例で最も一般的に処方されると思われる。多くの症例において流産の原因は過剰な活動と関連しないので、床上安静が自然流産を減じるための有効な戦略となる可能性は低い。

目的: 

流産のリスクが高い女性を対象として、流産防止のため妊娠中の床上安静を処方する効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを検索した(2010年3月)。

選択基準: 

流産防止のため病院または在宅での床上安静を処方された妊婦における臨床的アウトカムを、代替ケアや無介入と比較したデータが報告されている全ての発表済み、未発表、および、進行中のランダム化試験を選択した。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に、選択された試験の方法論的質を、Cochrane Reviewers' Handbookに記述された方法を用いて評価した。方法論的質とは関係なく研究を選択した。

主な結果: 

84例の女性を対象とした2件の研究のみを選択した。床上安静群と非床上安静群(プラセボや他の治療)の間で流産リスクに統計学的有意差はなかった(リスク比(RR)1.54、95%信頼区間(CI)0.92~2.58)。病院での床上安静も在宅での床上安静も流産防止に有意差を示さなかった。床上安静なしのヒト絨毛性ゴナドトロピン治療群の女性における流産のリスクよりも、床上安静群の女性における流産リスクの方が高かった(RR 2.50、95%CI 1.22~5.11)。これらの研究に組み入れられた参加者が少数であることが、この解析を結論のでないものにしている主要因子であると思われる。

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