メチルドーパは、プラセボと比較して、原発性高血圧患者の血圧をさまざまな程度で低下させる。しかし、臨床アウトカムに対する影響は依然として不明である。
高血圧は、脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全のリスクを上昇させる。メチルドーパは中枢性に作用する抗高血圧薬であり、1970年代から80年代にかけて血圧コントロールに一般に使用された。その使用は現在、副作用のより少ない抗高血圧薬クラスの使用にほとんど取って代わっているが、低価格であるため発展途上国では依然としてメチルドーパが使用されている。プラセボと比較した代替アウトカムおよび臨床アウトカムに対するメチルドーパの相対的な有効性に関するレビューの妥当性が示されている。
ランダム化比較試験(RCT)を対象に、原発性高血圧患者の総死亡率、心血管系死亡率、重篤な有害事象、心筋梗塞、脳卒中、有害作用による薬剤中止、血圧に及ぼすメチルドーパの影響をプラセボと比較定量化する。
以下のデータベースを検索した:Cochrane Central Register of Controlled Trials(1960年~2009年6月)、MEDLINE(2005年~2009年6月)、EMBASE(2007年~2009年6月)。検索により引き出した研究の参考引用文献もレビューした。言語に制約は設けなかった。
原発性高血圧患者を対象に検討しているRCTを選択した。二次性高血圧または妊娠高血圧の患者に関する研究は除外した。
2名のレビューアが独立にデータを抽出し、バイアス・リスクツールを用いて試験の質を評価した。データ合成および解析はRevMan 5を用いて行った。血圧のデータは通則的な逆分散法を用いて統合した。
12件の試験(N=595)が本レビューの選択基準に適合した。これらの研究はいずれも、死亡率および罹病率のアウトカムに及ぼすメチルドーパの影響をプラセボと比較評価していなかった。有害作用による薬剤中止に関するデータは、意味のあるメタアナリシスを可能にするような方法で報告されていなかった。12件の試験のうち6件からのデータ(N=231)を統合し、メチルドーパの降圧効果をプラセボと比較評価した。このメタアナリシスから、1日500~2,250mg用量のメチルドーパにより収縮期血圧および拡張期血圧が平均13(95%CI6~20)/8(95%CI 4~13)mmHg低下することが示されている。全体的に、バイアス・リスクは中等度と考えられた。