潰瘍性大腸炎の寛解導入のための5-アミノサリチル酸直腸投与

著者の結論: 

5-ASA直腸投与は、軽度から中等度の活動性遠位UC患者に対する第一選択治療と考えるべきである。5-ASAの至適な1日総量および投与回数は依然として不明である。将来の研究では、病変の近位縁と疾患の活動度によって定義された患者サブグループ間の有効性の差を明確にする必要がある。潰瘍性大腸炎の臨床試験のためのアウトカム評価方法のコンセンサスの得られる標準化が強く必要とされている。

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背景: 

5-アミノサリチル酸(5-ASA)は、軽度から中等度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の寛解導入と寛解維持のための第一選択治療と考えられている。UCの炎症が遠位結腸に限局する場合、5-ASAは坐剤、注腸、または泡沫剤として直腸に投与することもできる。

目的: 

活動性遠位UC治療に対する5-ASA直腸投与の有効性を評価するためシステマティック・レビューを行った。

検索戦略: 

MEDLINEデータベース(1966年~2008年)、Cochrane Central Register of ControlledTrialsおよびCochrane IBD/FBD Group Specialized Trials Registerの電子検索を行い、さらに参考文献リストおよび学会予稿集を用手的に収集評価し補完した。

選択基準: 

5-ASA直腸投与をプラセボまたは別の実薬治療と比較しているランダム化試験を採用した。病変の遠位縁が肛門縁から60cm未満または脾屈曲部よりも遠位の患者を対象とした試験を採用した。年齢12歳未満の被験者を登録した試験は除外した。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが適格性を評価した。標準化した方法を用いて2名のレビューアがデータを抽出した。症状、内視鏡的および組織学的基準を用いて改善および寛解の導入について、ITT解析の原則を用いて統合オッズ比(POR)を計算した。群間で異質性が認められない限り(P<0.10)、固定効果モデルを用いた。異質性がある場合にはランダム効果モデルを用いた。統計的分析はすべてRevMan 5を用いて行った。十分なデータが入手可能な場合には、病変の程度、5-ASAの総1日用量、5-ASAの剤形(注腸、坐剤、泡沫剤)、およびコントロール介入の種類(プラセボまたは別の実薬治療)についてサブグループ解析を行った。

主な結果: 

38件の研究が選択基準を満たした。5-ASA直腸投与は、症状、内視鏡所見および組織所見の改善および寛解を導入する上でプラセボよりも優れており、症状改善のPORは8.87(8件の試験、95%CI 5.30~14.83、P<0.00001)、内視鏡所見改善のPORは11.18(5件の試験、95%CI 5.99~20.88、P<0.00001)、組織所見改善のPORは7.69(6件の試験、95%CI 3.26~18.12、P<0.00001)、症状寛解のPORは8.30(8件の試験、95%CI 4.28~16.12、P<0.00001)、内視鏡所見寛解のPORは5.31(7件の試験、95%CI 3.15~8.92、P<0.00001)、組織所見寛解のPORは6.28(5件の試験、95%CI 2.74~14.40、P<0.0001)であった。5-ASA直腸投与は症状改善および寛解を導入する上で副腎皮質ステロイド直腸投与よりも優れており、それぞれPORは1.56(6件の試験、95%CI 1.15~2.11、P=0.004)および1.65(6件の試験、95%CI 1.11~2.45、P=0.01)であった。症状改善については5-ASA直腸投与は5-ASA経口投与に勝ってはいなかった(POR 2.25、95%CI 0.53~19.54、P=0.27)。1日総量も5-ASAの剤形も治療効果に影響を及ぼさなかった。

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