敗血症(全身的な血流感染)は新生児でよくみられる。現在の救命診療管理を用いても、重度の敗血症の死亡率および罹病率は高い。活性化プロテインC(APC)はヒト体内で生成される蛋白の一つで、凝血塊の形成を防ぎ、その分解を助ける。遺伝子組み換えヒトAPC(rhAPC)は、遺伝子組み換え技術を用いたAPCの合成物である。成人での重度敗血症における死亡率を低下させることが示されている。レビューアらは、新生児での重度敗血症のrhAPCによる治療が死亡率および重度の罹病率の低下に役立つかを検討した。この年齢群での比較研究は認められなかった。2011年10月25日、成人での副作用のため、Eli Lilly社によるrhAPC (Xigris®)は市場から撤退した。rhAPCはどの年齢カテゴリーにおいても使用すべきではなく、製品は販売元に返却すべきである。
使用に対する科学的論拠にもかかわらず、新生児での重度敗血症の管理にrhAPCを用いるデータは不十分であった。有効性の欠如、出血の増加およびその結果として、市場からのrhAPCの撤退という成人での試験結果のため、新生児にrhAPCを投与すべきではなく、さらなる試験も実施すべきではない。
敗血症は、早産児および正期産児で多くみられる疾患である。新生児敗血症の罹患率は低下しているが、依然として死亡率は高い。遺伝子組み換えヒト活性化プロテインC(rhAPC)は、凝固および炎症を調節する広域活性スペクトルを有す。敗血症成人では死亡率を低下させるが、重度敗血症の小児では有意な利益の報告はない。
rhAPC投与により新生児敗血症での死亡率および/または罹病率が低下するか検討すること。
本更新検索を、Cochrane Central Register of Controlled Trial(コクラン・ライブラリ)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、およびPediatric Academic Societiesの年次総会の抄録を対象に2011年5月に実施した。活性化プロテインCに関する博士論文、修士論文、および論文のScience Citation Indexを検索した。言語による制約は設けなかった。
出生後28日未満の正期産児および早産児を対象に、重度敗血症の疑いまたは重度敗血症確定診断の抗菌薬療法の補助手段として、rhAPCの有効性をプラセボまたは無介入と比較して評価しているランダム化または準ランダム化試験。以下のアウトカムのうち1つ以上を報告している試験を適格とした:最初の入院中の死亡率、2歳以上での神経発達の評価、入院期間、人工呼吸器使用期間、慢性肺疾患、脳室周囲白質軟化症、脳室内出血、壊死性腸炎、出血、および他のあらゆる有害事象。
レビューアは選択基準と質について論文を評価し、関心のあるアウトカムについて情報を要約した。不一致は合意により解決した。統計学的方法として、二値アウトカムに対して相対リスク、リスク差、治療必要数、有害事象発生割合数を、連続アウトカムに対して重み付け平均差を95%信頼区間と共に報告した。固定効果モデルをメタアナリシスに対して用いた。統合するデータの適切性を評価するため、I2統計量などの異質性検定を実施した。
適格な試験は同定されなかった。2011年10月、成人を対象とした試験での高い死亡率により、Eli Lilly社によるrhAPC (Xigrisa®)は市場から撤退した。Xigris® (DrotAA)( rhAPC)はどの年齢カテゴリーにおいても使用すべきではなく、製品は販売元に返却すべきである。
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