統合失調症を抱える人々は、日常生活やストレスの多いライフイベントから生じる問題を解決する能力に欠けることがしばしばある。問題解決スキルの欠如は、自立して生活する能力に影響を及ぼし、障害や生活の質の低下の原因となる。問題解決療法とは、統合失調症を抱える人々が、問題に体系的にアプローチをする能力を向上させるために考案された心理的介入であり、抗精神病やその他の支援的な介入に加えて利用することができる。
問題解決療法には、以下のようないくつかの重要な段階がある。(1) 症状と問題の関連付け、(2) 問題の定義付け、(3) 達成可能な目標の設定、(4) 望ましい解決策の産出と選択、(5) 望ましい解決策の実行、(6) 解決策の結果の評価。日常生活での問題にうまく対処することでストレスが軽減されれば、統合失調症の再発や症状悪化のリスクを下げられる可能性がある。
我々は、統合失調症を抱える人々に対する問題解決療法の有効性を、その他の同等の治療法あるいは通常のケアと比較して評価をした。3件の小規模なランダム化試験を対象とした。レビューの全体的な結果は決定的ではなく、入院や精神状態、行動、社会スキルに影響がある問題解決能力にとって大きな利点は示されなかった。このレビューの結果からは、統合失調症を抱える人々の追加治療として問題解決スキルのトレーニングについて利用を支持、あるいは中止を勧めるガイダンスを提供することは、現時点ではできない。
《実施組織》 相田早織 翻訳, 佐藤さやか 監訳 [2021.3.22] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006365.pub2》