魚油には、潰瘍性大腸炎患者の腸にみられる炎症に対して軽減効果の可能性があるオメガ-3脂肪酸が含まれている。潰瘍性大腸炎の寛解維持のため、オメガ-3脂肪酸を日常的に摂取した場合の効果を評価した、ランダム化プラセボ対照比較試験について評価した。組み入れた3つの研究のうち、プラセボと比較した疾患再燃率の低下が報告されたものはなかった。これらの研究をメタアナリシスのため統合したが、オメガ-3脂肪酸のベネフィットは認められなかった。すべての研究で重篤な副作用はみられなかった。魚油が小腸内で放出されるように腸溶コーティングされたカプセルを使用していた研究は1つもなかった。腸溶コーティングされていないオメガ-3脂肪酸(魚油)は、安全であるが、潰瘍性大腸炎の寛解を維持する効果は不十分であると考えられる。今後は腸溶コーティングカプセルの研究が必要である。
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訳注:
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD006443.pub2】