今のところ、この種の介入がこの臨床状態の自然史に有意な影響を及ぼすかどうかを示すような方法で、ペントキシフィリンによる糖尿病網膜症の治療を検討した信頼性の高い研究はない。本物質が糖尿病網膜症の治療で担う可能性のある役割については、依然として議論の余地があり、患者関連アウトカムに焦点を当てた今後の研究には、この重要な問題に直接取り組む機会があることが示唆される。
毛細血管閉塞が糖尿病網膜症の発症に重要な役割を担うことを示すエビデンスが増加している。ペントキシフィリンなどの凝集抑制薬(disaggregant)は糖尿病網膜症のアウトカムおよび進行に影響を及ぼし得るが、この仮説を検討するための、本薬剤の有効性および安全性に関する文献のシステマティック・レビューは発表されていなかった。
今回の研究の目的は、方法論が強固な試験において糖尿病網膜症に対するペントキシフィリンの効果を評価するために、システマティックな方法で文献をレビューすることであった。帰無仮説は、ペントキシフィリンは糖尿病網膜症の進行または失明に影響を及ぼさないというものであった。
発表を同定するために、電子データベースをシステマティックに検索した。関連性のある論文を執筆言語を問わず入手し、データを評価した。
糖尿病網膜症の治療におけるペントキシフィリンの効果を評価したランダム化比較臨床試験(RCT)のみを選択することにした。
2名のレビューアが独自に選択基準およびバイアスの危険性について研究を評価した。
電子検索によって計97件の発表を同定し、2名のレビューアが抄録を調べた。このうち17件を、ペントキシフィリンを用いた糖尿病網膜症患者の治療についての情報を提供し、関連する可能性がある試験として同定し、全文を読んだ。残念ながら、今回の選択基準を満たす発表はなかった。