新生児でのプロポフォール使用に関する入手可能なエビデンスに基づいた実践への勧告はできなかった。新生児でのプロポフォールの薬物動態に関するさらなる研究が必要であり、比較的安全な用量が同定された場合は、プロポフォールの安全性および有効性を評価するランダム化比較試験が必要である。
選択的な内科または外科処置はNICUに入院した新生児に対して行われることが多い。オピオイドなどの薬剤がそのような処置の鎮静/鎮痛/麻酔を得るために一般的に使用されるが、これらの薬剤は有害作用との関連がある。プロポフォールはこの目的で小児および成人集団で広く使用されている。新生児でのプロポフォール使用の有効性および安全性は明らかではない。
処置のため鎮静または麻酔を受ける新生児を対象に、プラセボ、無治療、別の実薬と比較したプロポフォール投与の有効性および安全性を検討すること。プロポフォール投与法(ボーラス注入または持続注入)、実薬対照の種類(神経筋遮断薬単独、または神経筋遮断薬と鎮静薬、鎮痛薬、抗不安薬のいずれかとの併用)、処置の種類(気管内挿管、眼科検査、他の処置)、および在胎期間(早期産および正期産)によるサブグループ分析を実施すること。
言語制約なく適格な研究について、MEDLINE(1950年~2010年9月30日)、EMBASE(1980年~2010年9月30日)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ、2010年、Issue 2)を検索した。同定した論文の文献リスト、Pediatric Academic Societiesに提出された抄録(2002年~2009年)、および適格な論文の国際的試験登録を検索した。
処置のため新生児で使用された、プラセボ、無治療、他の鎮静/麻酔/鎮痛薬単独または併用に対するプロポフォールのランダム化または準ランダム化比較試験を対象とした。
Cochrane Neonatal Review Groupの標準的方法に従ってデータを収集し解析した。
新生児63例についての1件の非盲検ランダム化比較試験が選択基準に合致した。33例の新生児のプロポフォール群が30例のモルフィン‐アトロピン‐スキサメトニウム群と比較されていた。複数回の挿管企図を要した児の数に統計学的有意差はなかった(モルフィン‐アトロピン‐スキサメトニウム群57%に対しプロポフォール群39%;RR 1.40、95%CI 0.85~2.29)。薬剤準備時間、処置完了時間、以前の臨床状態への回復時間はプロポフォール群の方が短かった。臨床的に有意な副作用に差は見られなかったが、事象数が少なかった。