小児および青年に対する性的虐待は、依然として世界的に重大な問題である。性的虐待を受けた小児および青年は、さまざまな心理的、社会的および身体的問題を経験することが多い。また、これらの問題は成人期まで続くことが多い。このため、性的虐待を受けた人を救う最善の方法を知っておくことが非常に重要である。性的虐待の犠牲者には、精神分析的・力動的心理療法に基づく治療が行われることが多い。これらの治療は、過去の関係や経験の困難さは無意識の中に押し込んで忘れようとすることが多いが、後になって現在の問題という形で再出現するという考えに基づいて実施される。精神分析的・力動的心理療法士との関係を通して、性的虐待の犠牲者は無意識の葛藤を意識的に理解できるようになる。これは、回復の手助けとなると考えられる。しかし、この種の療法で本レビューの厳密な選択基準を満たす療法の研究は確認されなかった。その結果、性的虐待を受けた小児および青年に対する精神分析的・力動的心理療法の有効性について結論を引き出せない。研究および臨床現場のエビデンス欠如の意味を議論する。質の高いランダム化比較試験を実施する必要がある。ただし、重要な研究を見逃さないようにするために、この問題に関する将来のシステマティック・レビューを、その他の質の低いエビデンスも含めて検討する必要がある。
性的虐待を受けた小児および青年を対象とした、精神分析的・力動的心理療法群と通常の治療群または無治療・待機者リスト対照群を比較するランダム化および準ランダム化試験は存在しない。その結果、この母集団では精神分析的・力動的心理療法の有効性について結論を出すことができない。この重要なギャップは、この母集団における精神分析的・力動的心理療法の有効性についてさらに研究が必要であることを強調している。そのような研究は、方法論的に高品質で、大規模なランダム化比較試験の形をとることが理想的である。これらの試験が実施されない場合、重要な研究を見落とさないようにするために、この問題に関する将来のシステマティック・レビューをその他の質の低いエビデンスも含めて検討する必要がある。
小児および青年に対する性的虐待は、世界的に重大な問題である。この問題は、犠牲者に及ぼすさまざまな心理的、社会的および身体的な負の影響に関連する。これらの影響は性的虐待の直後に見られることが多いが、後に発現する場合もあれば、成人期にのみ起こることもある。性的虐待を受けた小児および青年を救うことを目的とした多種多様な介入がある。精神分析的・力動的心理療法は、これらの犠牲者を対象として長く確立されている療法である。本レビューでは、特に性的虐待を受けた小児および青年におけるこの療法の有効性についてエビデンスの発見に着手した。
性的虐待を受けた小児および青年に対する精神分析的・力動的心理療法の有効性を評価すること。
2013年5月に、CENTRAL、Ovid MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Sociological Ab- stracts、Social Science Citation Index、Conference Proceedings Citation Index - Social Science and Humanities、 LILACSおよびWorldCatを検索した。3件の試験登録リストも検索した。関連した研究の参考文献一覧を調査し、既知の専門家に連絡を取った。
ランダム化および準ランダム化試験を実施し、介入前までに性的虐待を経験した18歳以下の小児および青年を対象として、精神分析的・力動的心理療法群と通常の治療群または無治療・待機者リスト対照群を比較した。
2名のレビュー著者(BPおよびWT)が独立して検索結果を選択し、適格基準を満たす研究を同定した。
本レビューで選択基準を満たす研究は同定されなかった。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.7.11]
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