新生児黄疸に対するクロフィブラート

黄疸は新生児期、通常生後第1週において多くみられる問題です。黄疸は、新生児を3~4日間特殊な光の下に置く光線療法を用いて極めて効果的に治療できます。新生児を光線の下に置く必要性を減らし、両親の不安を減らして両親と子どもとのきずなを深める機会を改善するため、いくつかの国では光線療法と併用してクロフィブラートを使っています。<br /><br />クロフィブラートにより光線療法の期間の減少に効果があるか明らかにするため、システマティックな文献検索を用いてエビデンスを検討しアウトカムデータを統合しました。12件の研究を同定し、クロフィブラートの使用により正期産と早産の新生児の双方で光線療法の時間が平均23時間減りました。<br /><br />しかし、ほとんどの研究はイラン1ヵ国で行われていたため、他の国にこれらの所見はあてはまらないかもしれません。クロフィブラートの使用を推奨する前に、他の国々でさらに研究する必要があります。

著者の結論: 

高ビリルビン血症に対する光線療法併用のクロフィブラート使用についての各国からのデータは不十分で診療に対する勧告を行うことはできなかった。大規模な試験により、高ビリルビン血症の正期産および早産児において、光線療法の必要性およびその期間の減少にクロフィブラートがどれほど有効であるか明らかにする必要がある。

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背景: 

新生児において非抱合型ビリルビン値の上昇(高ビリルビン血症)を引き起こす病態は多くある。非抱合型高ビリルビン血症に対する現在標準的な治療は、光線療法および交換輸血などである。光線療法に加えて、クロフィブラートが高ビリルビン血症の治療として数ヵ国で研究されている。

目的: 

新生児非抱合型高ビリルビン血症での光線療法単独に比べたクロフィブラートと光線療法の併用の有効性および安全性を明らかにすること。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリでの使用される前のMEDLINE(1950~2012年4月)、EMBASE(1980~2012年4月)、およびCINAHLデータベースを検索しランダム化比較試験(RCT)を同定した。2012年4月2日に全検索を再度実施した。

選択基準: 

高ビリルビン血症の新生児が、光線療法を併用したクロフィブラート、光線療法単独、または光線療法を併用したプラセボの投与を受けている試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューア(MGおよびHM)が別々にデータを抽出し解析した。以下のアウトカムに対する投与効果を検討した:ビリルビン値の平均変化量、光線療法の平均実施期間、交換輸血必要回数、クロフィブラートの有害作用、ビリルビン脳症および新生児死亡率。その後追加された情報について研究著者に連絡を取った。「バイアスリスク」表を用いて研究の方法論的質を分析した。

主な結果: 

研究15件(早産児対象2件、正期産児対象13件)を本レビューに選択した。選択した研究は1件を除いて全てイランで実施されていた。早産児では、48時間後にコントロール群に比べてクロフィブラート100 mg/kg群でのビリルビン値が有意に低かった[平均差-1.37 mg/dL(95% CI -2.19 mg/dL~-0.55 mg/dL)、(-23 μmol/L、95% CI -36 μmol/L~-9 μmol/L)]。正期産児では、コントロール群に比べてクロフィブラート群でのビリルビン値が24時間後[重み付け平均差-2.14 mg/dL(95% CI -2.53 mg/dL~-1.75 mg/dL)、(-37 μmol/L、95% CI -43 μmol/L~-30 μmol/L)]と48時間後[重み付け平均差-1.82 mg/dL(95% CI -2.25 mg/dL~-1.38 mg/dL)、(-31 μmol/L、95% CI -38 μmol/L~-24 μmol/L)]の両方で有意に低かった。<br /><br />早産児[重み付け平均差 -23.82時間(95% CI -30.46~-17.18時間)]と正期産新生児[重み付け平均差-25.40時間(95% CI -28.94~-21.86時間)]の両方で、コントロール群に比べてクロフィブラート群での光線療法期間が有意に短かった。<br /><br />ビリルビン脳症率、新生児死亡率、介入に対する両親およびスタッフの満足度を報告している研究はなかった。

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