このレビューの目的は何か
このコクランレビューは、民間医療保険に対する政府の規制の効果を検討した。この疑問に答えるため、関連するすべての研究を検索した。
要点
政府による規制が民間医療保険に及ぼす影響については、エビデンスの確実性が非常に低いため、わからない。異なる環境、異なる種類の規制、異なる種類の民間医療保険を評価する、より多くの研究が必要である。
このレビューからわかったことは何か
多くの環境では、人々は自分の医療費を自分で支払わなければならない。つまり、収入の少ない人は、必要な医療を受けることができないことが多い。この問題を解決するために、一部の政府は公的医療保険制度を運営している。政府は通常、これらのプログラムの費用を税金で賄うが、これらのプログラムは複雑で運営費が高い。そのため、政府によっては、国民が必要とする医療を提供するために、民間の医療保険会社に依存しているところもある。
民間医療保険制度への加入費用は、個人自身または雇用主が直接負担する。民間の医療保険会社は、営利目的で運営されている場合もあれば、非営利の場合もある。しかし、多くの会社は、若くて健康な会員の方が医療費が少なくて済むので、そのような会員を好む傾向がある。そのため政府は、誰でも加入でき、提供されるヘルスケアが良質であることを確認するために、これらの企業を規制しようとしている。政府は、企業が従わなければならない法律を制定し、企業がそれを守っているかどうかを監視し、守っていない企業を罰することによって、これを行う。政府の規制は、人々の医療へのアクセスを向上させ、政府のお金を節約することができる。しかし、規制によって保険会社が閉鎖に追い込まれることもある。
このレビューの主な結果は何か
7件の関連する研究を特定した。いずれの研究も、米国において、営利企業の規制を目的とした州法の影響を調べたものであった。
- このエビデンスの確実性は非常に低かった。したがって、政府の民間医療保険に対する規制が、人々の医療サービスの利用や民間保険会社が提供する医療費に何らかの影響を与えるかどうかはわからない
- どの研究も、政府の規制が民間保険会社の提供する医療の質や人々の健康に及ぼす影響については調べていない。
このレビューの更新状況
2019年11月までに発表された研究を検索した。
《実施組織》 阪野正大、堺琴美 翻訳[2022.03.20]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011512.pub2》