なぜこのレビューが重要なのか?
道路交通の自殺は、自動車事故による死亡事故との区別が難しいため、この自殺方法については公的なデータが存在しない。自殺に用いられる死に至る方法へのアクセスを制限すること(手段制限と呼ばれる)は、自殺を予防するための重要な普遍的または集団的な戦略である。自殺の手段へのアクセスを制限することは、自殺を防ぐために有効なアプローチであるというエビデンスはあるが、道路での自殺を防ぐためのエビデンスは十分に確立されていない。したがって、このレビューは、アクセス制限が道路上での自殺に与える影響を探ることを目的としたものである。
エビデンスの検索
いくつかの医療データベースを検索して、道路上での自殺の手段へのアクセスを制限することの影響を評価した試験を見つけた。2020年3月までのデータベースを検索した。また、未発表や進行中の試験を探すために国際臨床試験登録サイトも検索した。我々が関心を持った主なアウトカムは、自殺、自殺未遂、または自傷行為であった。
主な結果
レビューの選択基準に満たすような試験は見つからなかったその結果、道路での自殺防止のための手段制限という介入の有効性については結論を出すことができない。自殺の意図を判断することは交通事故死亡者の大きな問題であり、この自殺方法をより正確にスケールアップし、研究し、そして理解するためには、明確な客観的基準が必要である。自殺防止活動における道路での自殺に対する意識の向上が必要であり、今後の政府の自殺防止政策に盛り込む必要がある。道路上での自殺を防ぐための介入の有効性を調査する頑健な試験が緊急に必要とされている。
《実施組織》阪野正大、季律 翻訳[2020.11.23]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013738》