ホメオパシー(同種療法とも呼ばれる)は、「同じようなものが同じようなものを治す 」という考えに基づいた補完療法のひとつである。身体に起こる問題に対して自然治癒力を高めるために、通常、症状を引き起こす原因となり得る物質を大幅に薄めて(希釈・振盪して)使用する。ホメオパシーのレメディー(希釈・振盪された作用物質)は、有害な作用のリスクを最小限に抑えることを目的としている。喘息治療に用いられるものには、クラシカルホメオパシー(個人の症状に合わせた治療)や アイソパシー(同種毒療法とも呼ばれ、たどえば、花粉などアレルギーを引き起こす物質を希釈して使用する)など、さまざまな種類がある。本レビューから、ホメオパシーの治療の種類が試験間で異なっており、用いられた試験デザインも異なっていたため、喘息に対するホメオパシーの通常の治療が有効であるという有力なエビデンスはないことがわかった。「一括ケア」の効果(個人に合わせたホメオパシー療法に不可欠と思われる問診のほか、薬の効果)測定はわずかに試みられたに過ぎなかった。喘息治療にホメオパシーを使用することについて今よりも有力なエビデンスが得られるまで、ホメオパシー療法を推奨することはできない。
喘息に対するホメオパシーの役割の可能性を確実に評価するための十分なエビデンスはない。ランダム化比較試験だけでなく、ホメオパシーのさまざまな処方方法と処方に対する患者の反応を記録した観察データが必要である。それによって、ホメオパシーによる介入のみというよりも、「一括ケア」に対して患者がどの程度反応するかを実証できるであろう。
ホメオパシー(同種療法)では、希釈しないと症状を引き起こす物質を希釈して使用する。ホメオパシーは補完医療の中でも最も広く普及している治療法の一つであり、喘息の治療にも用いられている。
本レビューの目的は、安定している慢性喘息患者に対するホメオパシーの効果を評価することとした。
Cochrane Airways Group Specialised Register of Trialsを検索した(2007年8月現在まで検索)
安定した慢性喘息に対して1週間以上の観察期間を設けたホメオパシーのランダム化比較試験を組み入れた。
2名のレビューアがデータの抽出を行った。同じレビュー著者が試験の質も評価した。
参加者計556名の6試験を組み入れた。組み入れた試験はいずれもプラセボ対照二重盲検であったが、その質はさまざまであった。それぞれ異なるホメオパシー療法薬 を使用しており、主要アウトカムについて試験結果を定量的に統合することは不可能であった。 ホメオパシーは個人に合わせた治療になることが多く、これらの試験で標準化された治療が一般的なホメオパシー療法を示すとは考えにくい。妥当性が確認されている症状尺度のスコアに関して有意差を報告した試験はなかった。肺機能については試験によって矛盾する結果があった。「一括ケア」の効果(個人に合わせたホメオパシー療法に不可欠と思われる問診のほか、薬の効果)測定はわずかに試みられたに過ぎなかった。2005年8月の更新版では新しい研究は見つからなかった。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2017.11.11]
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