急性虚血性脳卒中に対するカルシウム拮抗薬

論点

カルシウム拮抗薬は急性虚血性脳卒中の患者にとって有益か。

背景
脳卒中のほとんどは大血管や小血管の閉塞による血流の減少による。結果として、カルシウムイオンが脳の神経細胞に流入し細胞死を引き起こす。カルシウム拮抗薬はカルシウムイオンの流入を阻害して細胞の障害を減少させるかもしれない。過去20年間、急性虚血性脳卒中に対する様々なカルシウム拮抗薬の臨床試験が行われてきた。本レビューでは、急性虚血性脳卒中の患者に対するカルシウム拮抗薬とプラセボや対照群との効果の比較についてエビデンスを評価した。

試験の特性
2018年2月6日までに公表された、選択基準を満たす34件の試験(被験者7731人)を特定した。これらの試験は様々な薬剤を評価していた。26件の試験はニモジピンを評価し、3件の試験はフルナリジンを評価した。1件の試験がイスラジピン、ニフェジピン、PY108-608、ファスジルそしてリファリジンを用いた。

主な結果
カルシウム拮抗薬を服用した患者としなかった患者の間で死亡や要介護の発生に差はなかった。

エビデンスの質
急性虚血性脳卒中発症後にカルシウム拮抗薬を服用することで、死亡を防いだり障害を減らす効果があるというエビデンスは存在しない。エビデンスの質は中程度の信頼性のものであり、さらなる試験を行っても本レビューの結果が変わる可能性は低い。

訳注: 

《実施組織》岩見謙太朗 翻訳、土方保和 監訳[2020.03.31]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD001928.pub3》

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