本レビューからのエビデンスは、入手可能なARBの間で臨床的に意味のある降圧に差はないことを示唆している。ARBの降圧効果は軽微であり、ひとつのクラスとしてのACE阻害薬と同程度である。最大推奨用量以上でのARBのトラフ時での平均降圧の大きさは-8/-5mmHgである。さらに、このトラフ時の降圧効果の60%~70%は、推奨初回用量で生じる。試験期間が短く、多くの試験では有害作用の報告が欠落していたために、本レビューでは、ARBに伴う有害性の発現率の望ましい推定値を提供していなかった。
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は、高血圧症に対して広く処方されている。そのため、血圧(BP)、心拍数、有害作用による中止(WDAE)に対する影響を決定し、比較することが不可欠である。
原発性高血圧症の治療におけるARBによる収縮期血圧および/または拡張期血圧の用量関連降圧効果をプラセボと比較し、定量化する。
CENTRAL(コクラン・ライブラリ2007年第1号)、MEDLINE(1966年~2007年2月)、EMBASE(1988年~2007年2月)および論文の参考文献リストを検索した。
原発性高血圧症患者を対象に3~12週間にわたって、ARBの固定用量単剤療法の降圧効果をプラセボと比較評価している二重盲検ランダム化比較試験。
2名のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。その後追加された情報について研究著者に問い合わせた。試験からWDAE情報を収集した。
46件のランダム化比較試験(RCT)で、ベースライン血圧が156/101mmHgの13,451例の参加者を対象に、9種類のARBの用量関連したトラフ時での用量関連降圧効果が評価されていた。データから、降圧についていずれかひとつのARBがより優れている、またはより劣っていることは示唆されていない。製造業者の最大推奨1日用量(Max)の1/8または1/4用量で、Maxの降圧効果の60%~70%である降圧効果を達成した。Maxの1/2の用量でMaxの80%である降圧効果が達成された。Maxを上回る用量のARBは、Maxよりも有意に大きく血圧を下降させるとはいえなかった。出版バイアスのため、最大規模の試験がひとつの医薬品クラスとしてのARBのトラフ時での最高の降圧効果を示し、収縮期血圧で-8mmHg、拡張期血圧で-5mmHgとなる。ARBは投与から1~12時間後に測定した血圧を約12/7mmHg下降させた。