片側性脳性麻痺児の上肢に対する運動療法としてのCI療法

レビューの論点

CI療法(CIMT)を行うことにより、片側性脳性麻痺(CP)児の腕や手の使い方が改善するか?(CI療法;障害の軽度な上肢をギプスなどで拘束し、障害の重度な上肢を強制的に使用する運動療法)

本レビューの目的は何か?

CI療法を行うことにより、片側性(片麻痺)CP児の手の使い方が、より効果的なるかどうかを調べる。

要点

CI療法は、低強度(少ない量)で実施される他の上肢の運動療法よりも、両手を同時に使う能力を向上するために、効果がある可能性がある。CI療法は、多い量または同じ量で行われる別の上肢治療よりも、効果がないと思われた。CI療法は安全であると思われた。しっかりとした結論を出すためには、よりよく計画された研究が必要である。

このレビューから分かったこと

片側CP児は、両手を同時に使うことが困難である。ほとんどの日常生活動作では、両手を協調させて使う必要があるため、臨床家はCI療法を行うことで、片側性CP児の上肢能力の向上を支援している。CI療法は一種類の形式があるわけではなく、障害が軽度な上肢に対して常に拘束(例:ミット、スリング、ギプス)を行い、障害の重度な上肢に対して集中的な運動療法を行う方法である。

本レビューの主な結果は何か?

36件の研究が見つかった。児のCI療法への参加時間は、20時間から504時間であった。CI療法の研究は3つのカテゴリーに分類された。

CI療法群と少ない量の群(児は0~25時間の運動療法を行っていた;運動療法の量はCI療法群よりもはるかに少なかった群)との比較

CI療法群は、少ない量の群よりも、両手能力(両手を一緒に使うこと;エビデンスの質は低い)および片側能力(つまり、より障害の強い手を使う片手能力;エビデンスの質は非常に低い)を改善する可能性がある。3件の研究では、少数の児が挫折を経験したり、拘束具の着用を拒否したり、キャスティングによる可逆性の皮膚刺激があったことが報告されている。

CI療法群と多い量の群(児は両手に対する療法、または別の形態の集中的な運動療法を25時間以上受けており、その量はCI療法群より少なかった群)との比較

CI療法群は、両手能力(エビデンスの質は低い)や片手能力(エビデンスの質は非常に低い)については、多い量の群より効果がないように思われた。2件の研究では、CI療法に参加したことで挫折を経験した児がいることが報告されている。

CI療法群と同じ量の群(CI群と同じ量の、両手に対する運動療法を受けた群)の比較

CI療法群は、両手能力、片手能力(エビデンスの質は低い)または手の操作能力(エビデンスの質は非常低い)については、同じ量の群より効果がないように思われた。15件の研究から、2人の子どもがCI療法に耐えられず、3人がCI療法に慣れるのに苦労していた。

本レビューの更新状況

レビューには2018年3月までに発表された研究が含まれています。

訳注: 

《実施組織》堀本佳誉、小林絵里子 翻訳[2020.07.11]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004149》

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