臍帯ドレナージを実施した場合、実施しなかった場合と比較して分娩第3期の期間のわずかな短縮が認められ、失血量の減少も認められた。今回認められた統計学的に有意な減少に関する臨床的重要性については、議論の余地がある。胎盤用手剥離および輸血の必要性、並びに分娩後出血のリスクにおける明確な差はない。バイアスのリスクが中程度の小規模試験であったため、これらの結果の解釈には注意が必要である。
分娩第3期の臍帯ドレナージ※は、既にクランプおよび分割された臍帯のクランプを外し、血液を胎盤から適切な容器に排出させることを伴う。
本レビューの目的は、分娩第3期の管理において子宮収縮薬を予防投与した場合としない場合に、臍帯ドレナージによる経腟分娩後の分娩第3期への特異的な効果を評価することであった。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを検索した(2010年2月)。
分娩第3期の管理の一環としての臍帯ドレナージと臍帯ドレナージ未実施が比較されたランダム化比較試験。
2名のレビューアが別々に試験の質を評価し、データを抽出した。その後、第3のレビューアが確認し、合意されたアウトカムを本レビューに含めた。
女性1,257例に関する3件の研究が、本レビューの選択基準に合致した。臍帯ドレナージにより分娩第3期の期間が減少し[平均差(MD)-2.85分、95%信頼区間(CI)-4.04~-1.66、試験3件、女性1,257例(異質性:T2 = 0.87、カイ二乗 検定P = 17.19、I2 = 88%)]、平均失血量が低下した(MD -77.00 ml、95%CI -113.73~-40.27、試験1件、女性200例)。 選択した研究において、分娩後30分の遺残胎盤が発生しなかったため、当該アウトカムについては比較不能であった。分娩後出血および胎盤用手剥離について、臍帯ドレナージとコントロール群間に統計学的有意差は認められなかった。選択したいずれの研究においても、胎児母体間輸血アウトカムは報告されておらず、分娩第3期の母体の疼痛および不快感に関するデータはなかった。