薬剤抵抗性全般性強直間代発作に対するアドオン療法としてのラモトリギン

2010年に発表されたレビューの更新版である。

背景

てんかんは、発作を繰り返すことが特徴の神経学的(脳)疾患である。ほとんどの人は1種類の抗てんかん薬で発作を抑えることができるが、約30%は発作が続く。このような人は、薬剤抵抗性てんかんと言われている。ラモトリギンは抗てんかん薬で、他の抗てんかん薬と併用することで薬剤抵抗性てんかんの治療を試みることができる。

レビューの目的

本レビューでは、薬剤抵抗性全般性てんかん(発症時から脳全体に影響を及ぼす)で強直性間代発作(意識を失い、素早くリズミカルに痙攣する発作)を有する患者に対して、他の抗てんかん薬と併用した場合に、ラモトリギンの有効性と忍容性を検討した。

結果

薬剤抵抗性全般性強直間代発作の患者を対象に、ラモトリギンを検討した3件の研究(300人)が見つかった。ラモトリギンの追加投与を受けた人は、プラセボ(偽薬)の追加投与を受けた人に比べて、全般性強直間代発作の発生回数が50%以上減少する確率が約2倍になった。ラモトリギンは、発作が完全に起こらなくなった人の数、治療を中止した人の数、一般的な副作用を経験した人の数に、有意な影響を与えなかった。

しかし、これらの結果が正確であるかどうかは非常に不確かである。これは、研究への参加者が少ないことや、研究の手法が不明瞭であるからである。このため、ラモトリギンの使用について見解を述べることはできない。

薬剤抵抗性のある全般性強直間代発作の患者にラモトリギンを適切に使用するためには、より多くの人を対象とし、より長い期間にわたって実施される臨床試験が必要である。

エビデンスは2019年3月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》 冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.11.04]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007783.pub3》

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