妊娠中の母親の病状(糖尿病や高血圧など)や、赤ちゃんの健康や発育に影響を及ぼす可能性があるその他の状態によって、妊娠経過中に異常をきたすことがある。これらの潜在的な困難を持つ赤ちゃんを特定することができ、その結果を改善するための効果的な介入があれば、妊娠中に使用可能で正確にその困難を特定できる検査は有益な可能性がある。胎児心拍陣痛図(CTG)は、母親の腹部に装着した超音波トランスデューサを介して得られた赤ちゃんの心拍数を連続的に電子的に記録するものである。「電子胎児モニタリング(EFM)」と呼ばれることもある。このレビューでは、妊娠中にCTGを使用して、合併症のある赤ちゃんを特定することで、転帰が改善される可能性があるかどうかを調べた。赤ちゃんの合併症のリスクが高い女性と低い女性の両方を対象とした研究を探した。レビューには、合併症のリスクが高い女性だけを対象にした6つの研究が含まれていた。調査は1980年代に4件、1990年代後半に2件実施された。対象となった研究の質は低かった。CTGのコンピュータによる解析を使用した場合は有用である可能性があったが、全体としてアウトカムに差は認められなかった(質の低い/非常に質の低いエビデンス)。しかし、CTGモニターや関連技術、助産師や産婦人科医が妊娠中のさまざまな合併症を持つ女性をケアする方法は、長年の間に変化してきた。このことは、合併症のリスクが高い赤ちゃんの転帰が出生前のCTG、特にコンピュータ化されたCTGで改善できるかどうかを確認するために、より多くの研究が今必要であることを意味している。
《実施組織》 小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2020.08.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007863.pub4》