シロスタゾールは、脳卒中後の血管イベントの予防効果がアスピリンに比較して高い。シロスタゾールは軽度の有害作用がアスピリンよりも多いが、出血はアスピリンよりも少ないとのエビデンスがある。
アスピリンは脳卒中後の二次予防に広く使用されている。シロスタゾールは、アジア人脳卒中患者においてアスピリンの代替薬として有望であることが示されている。
過去に動脈源性の一過性脳虚血発作(TIA)または虚血性脳卒中を発症し、脳卒中再発の血管リスクが高い患者に対して脳卒中などの重篤な血管イベントを予防する治療法として、シロスタゾールとアスピリンを直接比較し、相対的な有効性と安全性を確認すること。
Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索2010年9月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2009年,Issue 4)、MEDLINE(1950年~2010年5月)、EMBASE(1980年~2010年5月)を検索した。発表済み研究、進行中の研究、未発表の研究をさらに同定するために、雑誌、会議録、進行中の試験登録を検索し、関連性のある研究の参照文献リストを調査するとともに、試験実施者と大塚製薬に連絡を取った。
シロスタゾールとアスピリンを比較したランダム化比較試験(RCT)で、参加者に1カ月以上の投与を行い、血管イベント発症を系統的に追跡した試験すべてを選択した。
適格な研究から以下のデータを抽出した。(1)追跡期間中における血管イベント(脳卒中、心筋梗塞、血管死)の複合アウトカム(主要アウトカム)、(2)脳卒中(虚血性または出血性、致死的または非致死的)、心筋梗塞(MI)(致死的または非致死的)、血管死および総死亡の個別のアウトカム、(3)頭蓋内出血、頭蓋外出血、胃腸(GI)出血および治療の追跡期間中に認められたその他のアウトカムを含む、安全性に関する主なアウトカム(副次アウトカム)。治療効果の推定値を算出し、試験間の異質性について検定した。データはintention-to-treatの原則に基づいて解析し、検討対象のすべての研究についてバイアスを評価した。
3,477例のアジア人参加者を対象とする2件のRCTが選択基準に合致した。アスピリンに比較して、シロスタゾールでは血管イベントの複合アウトカムのリスクが有意に低く[9.39%に対して6.77%、リスク比(RR)0.72、95%信頼区間(CI)0.57~0.91]、出血性脳卒中のリスクも低かった(2.01%に対して0.53%、RR 0.26、95%CI 0.13~0.55)。安全性のアウトカムについては、アスピリンに比較して、シロスタゾールでは軽度の有害作用が有意に多かった(4.95%に対して8.22%、RR 1.66、95%CI 1.51~1.83)。