胃癌に対する胃切除後の腹腔ドレナージの施行および非施行の比較

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著者の結論: 

胃癌に対する胃切除後にルーチンのドレーン使用を支持するような説得力のあるエビデンスは認められなかった。

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背景: 

切除可能な胃癌には、依然として胃切除が主要な治療法である。腹腔ドレナージは術後合併症と死亡率を抑制する重要な手段であるとの考えから、数十年前は胃癌に対する胃切除後に広く行われていた。しかし近年、腹腔ドレナージの利益は研究者らによって疑問視されている。

目的: 

本レビューの目的は、胃癌に対する胃切除後のルーチンの腹腔ドレナージの利益と有害性を評価することであった。

検索戦略: 

Specialised Registers of the Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Diseases(UGPD)Groupを含むコクラン・ライブラリ(2010年第10号)中のCochrane Controlled Trials Register(Central/CCTR)、MEDLINE(Pubmedを介して、1950年~2010年10月)、EMBASE(1980年~2010年10月)、Chinese National Knowledge Infrastructure(CNKI)Database(1979年~2010年10月)を検索した。

選択基準: 

胃切除を受けた患者を対象に行った腹腔ドレナージの施行と非施行を比較しているランダム化比較試験(RCT)を選択対象とした(胃切除のスケールやリンパ節摘除の範囲は考慮していない。また、言語、発表状況、ドレーンの種類に関係なく選択した)。あるドレーンを別のドレーンと比較しているRCTは除外した。

データ収集と分析: 

各試験から、方法論的質ならびに選択した研究、死亡率(30日死亡率)、再手術、術後合併症(肺炎、創傷感染、腹腔内膿瘍、吻合部漏出、ドレーン関連合併症)、手術時間、術後入院期間、および軟食の開始といった特性に関するデータを抽出した。二値データについてはリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。連続データについては平均差(MD)と95%CIを算出した。カイ二乗検定により異質性を検定した。RevManソフトウェアによるデータ解析には固定効果モデルを用いたが、カイ二乗検定のP値が0.1未満であった場合にはランダム効果モデルを用いた。

主な結果: 

患者438例(ドレーン群220例、非ドレーン群218例)が参加した4件のRCTを検討した。以下の項目については両群間の差に関するエビデンスは認められなかった:死亡率(RR 1.73、95%CI 0.38~7.84)、再手術(RR 2.49、95%CI 0.71~8.74)、術後合併症(肺炎:RR 1.18、95%CI 0.55~2.54;創傷感染:RR 1.23、95%CI 0.47~3.23;腹腔内膿瘍:RR 1.27、95%CI 0.29~5.51;吻合部漏出:RR 0.93、95%CI 0.06~14.47)、軟食の開始(MD 0.15日、95%CI -0.07~0.37)。しかし、ドレーンの留置は手術時間(MD 9.07分、95%CI 2.56~15.57)と術後入院期間(MD 0.69日、95%CI 0.18~1.21)を延長し、ドレーン関連合併症を引き起こした。また、30日死亡率と再手術が極めてまれなイベントであることに注意する必要がある。したがって、この両群が同等であるかどうかについて合理的な結論を下すには、極めて多数の患者が必要になると思われる。GRADEアプローチによるエビデンスの全般的な質は、死亡率と再手術については「極めて低い」、術後合併症、手術時間、術後入院期間については「低い」であった。