本システマティック・レビューに参加者390,769名の主として観察的な8件の研究を選択した。レビューした研究の目的は、総フラボノイドと8つの主要なフラボノイドサブクラスの摂取と、CRCや腺腫などの結腸直腸腫瘍との関連を検討することであった。大多数の研究の方法論的質は中等度から高度であった。食事フラボノイドの摂取により結腸直腸腫瘍リスクが低減するというエビデンスは相反しており、フラボノイド摂取の定量化が困難であることが原因の一部であると考えられた。したがって、食事フラボノイドと結腸直腸腫瘍予防との関連は依然として証明されていない。
フラボノイド摂取と結腸直腸腫瘍予防に関し、不十分で矛盾したエビデンスがみられた。フラボノイド摂取量を測定することは困難である。したがって、フラボノイドと結腸直腸腫瘍との関連を明らかにするため、さらなるエビデンスが必要である。
フラボノイドは植物界に広く分布するポリフェノール化合物で特に果物と野菜に多く含まれている。5,000を超えるフラボノイドが同定されており、その化学構造によって10以上のサブグループに分類されている。フラボノイドは癌の予防に関与する可能性がある多数の生物学的効果を有す。過去の研究では、フラボノイドの摂取量が多いと癌の予防に役立つと示唆されている。
大腸腺腫と大腸癌(CRC)の罹患率に対する食事フラボノイドの効果を評価すること。
コクラン・ライブラリ、PubMed、EMBASE、他のCINAHLデータベース、以前のレビューの参考文献リストにおける適格な研究について2011年7月まで検索した。
フラボノイドとCRC罹患リスクとの関連またはフラボノイドと大腸腺腫再発との関連のいずれかを評価しているすべての前向きのコントロール介入研究と観察研究を選択した。
2名以上のレビューアが別々に論文をレビューし選択基準に従ってデータを抽出し、さらに研究の方法論的質を評価した。
参加者390,769名の8件の研究を選択した。5件の研究は前向きのコホートデザイン、2件は症例対照研究、1件はランダム化比較試験(RCT)であった。Newcastle-Ottawa scale (NOS)を用いて方法論的質を評価した。3件の前向きのコホート研究の方法論的質は高く、2件の質は中等度であった。2件の症例対照研究の方法論的質は中等度であった。 フラボノイドと大腸癌、大腸腺腫との関連を評価している研究の結果は矛盾していた。総フラボノイド摂取により結腸直腸腫瘍リスクが低減するというエビデンスはなかった。イソフラボン、フラボノール、フラボン、フラバノンに関するエビデンスは相反していた。Flavan-3-ol(フラバノール)では、2件の研究結果から、Flavan-3-olの摂取増加によりCRCと大腸腺腫の両方のリスクが低減する傾向が示された。エピカテキン摂取増加でCRCリスクが統計学的に有意に低減したという所見が得られた。プロシアニジンとフィトエストロゲンの摂取増加によりCRC罹患率が低下することを支持する中等度の質のエビデンスがみられた。アントシアニン摂取増加が大腸腺腫と逆相関すると示唆するエビデンスはなかった。