本レビューは、さまざまな条件のヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)感染症の小児患者に対して、さまざまな微量栄養素サプリメントの有効性と安全性を検証した11件の試験を対象とした。1件の試験を除く全試験は、アフリカの小児を対象として実施されていた。主要評価項目は死亡率、罹患率、HIV関連の入院、副次評価項目はHIV病状の進行、成長の指標、サプリメントの有害作用であった。
レビューでは、アフリカの各国で行われた3件の試験の評価において、ビタミンAサプリメントが有益、安全で、全体的に死亡率を半減させたことが明らかとなった。1件の試験は、亜鉛が比較的安全であると思われ、下痢の罹患率を減少させた。複数の微量栄養素サプリメントは、栄養不良の小児入院患者の入院期間を短縮し、食欲、短期的な成長を改善した。
ビタミンA以外のサプリメント単体、複数のサプリメントに関する長期間の効果、最適な組成、最適用量については、さらに調査が必要である。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2020.12.28] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD010666》