まとめ
この疑問に答えようとした研究では、2種類の診療の間に重要な違いは示されなかった。しかし、その害や益に関する違いを否定するだけの十分な情報はない。現段階では、電話やインターネットでの喘息診療が通常の対面式診療に代わる安全なものかどうかは何とも言えない。
背景
医師や喘息専門看護師による定期診察は、症状把握や吸入器使用を維持するために不可欠である。電話やインターネット技術は増加する喘息患者や他の長期的な健康状態を管理する一つの方法かも知れない。これは「遠隔診療」や「e-consultations」と呼ばれており、患者と医師の連絡をより取りやすくするための方法かもしれないが、対面で会うのと同じくらいの効果があるかどうかはわからない。
研究の特徴
2100人の参加者を含む合計6つの研究が見つかった:792人を含む4つの研究は主な結果に関してプールすることができ、他の2つの研究はデザインが非常に異なっていたため、別々に調べた(n = 1213、n = 95)。4つのプールされた研究では、定期的に薬を服用している人が多く、重度の喘息や他の肺疾患のある人は除外した。主要な4つの研究とは非常に異なるデザインの2つの他の研究は別に検討した。一つでは喘息患者が電話診療の選択が与えられた診療と通常のクリニックを受診する診療を比較し、もう一つでは経口ステロイド剤を減量している患者をモニターする技術を特に検討していた。我々は2015年11月24日を最後に研究を探した。
主要な結果
電話やインターネットで受診した人は、対面で受診した人に比べて、喘息発作に対して経口コルチコステロイドを必要とする可能性が高いのか低いのかは何とも言えないし、いくつかの理由から結果は不確かであった。遠隔診療が対面式診療と同等であるかを判断する根拠となるような、救急外来や入院で治療を受ける必要がある、或いは不定期にかかりつけ医を受診する必要がある喘息発作があった喘息患者はほとんどいなかった。喘息のコントロールや生活の質に差がないようであったが、これらの指標については、遠隔診察が対面診察に劣る可能性を排除することができた。エビデンスはすべて低い質または中等度の質であった。電話診療の選択肢を与えることの有益性を検証した研究では、電話診療を受ける人の数は増えたが、喘息のアウトカムに関わる全体的な有益性は示されなかった。
《実施組織》星 進悦 翻訳、阪野 正大 翻訳[2020.05.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011715.pub2》