レビューの論点
抗炎症薬は、過去に脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA、軽度脳卒中)を起こしたことのある人が、将来の重篤な心臓疾患や脳卒中を予防するか?
背景
抗炎症薬は、いくつかの炎症性疾患の炎症を抑えるために使用される。脳梗塞の発症には、主に血管(動脈)に脂肪が沈着することで炎症が関与している可能性がある。現在、心筋梗塞や脳卒中、軽度脳卒中のリスクを減らすために様々な薬が使用できるが、20人に1人はさらに脳卒中や心筋梗塞を発症する。
検索日
2019年5月29日に検索を完了した。
研究の特徴
対象としたのは、血栓によって引き起こされた脳卒中またはTIAの既往がある成人患者を対象とした、抗炎症作用を主な用途とするあらゆる薬に関する研究であった。
主な結果
血栓による脳卒中またはTIAの既往がある人を対象に、抗炎症薬と抗炎症薬を使用しないことを評価したランダム化比較試験について、医学文献を徹底的に検索したが、このテーマを検討するために実施された研究は見つからなかった。したがって、抗炎症薬が血栓による脳梗塞後の心臓や脳卒中の転帰を変えるかどうか、また、この治療の有害性と有益性がどのようなものであるかについては言及できない。抗炎症薬を通常の治療と併用した場合と、通常の治療のみを行った場合を比較する試験が必要である。
エビデンスの質
エビデンスも研究もなかった。
《実施組織》 冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.06.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012825.pub2》