非自発的移住者に対するメンタルヘルスへの介入に関するシステマティックレビューのオーバービュー

難民、亡命希望者、国内避難民は非自発的な移民であり、彼らはしばしば、故郷を離れることを余儀なくされ、旅の途中で、そして受け入れ国や新しい環境に定住する過程で、苦痛を経験してきた。うつ病、不安、心的外傷後ストレス障害などの精神衛生に関する問題のためのメンタルヘルスの促進、予防、および治療は、これらの人々のグループでは、一般集団とは異なる働きをすることがある。このシステマティックレビューのオーバービューは、このトピックで利用可能なレビューの特徴をまとめたもので、今後のコクランレビューでどのような臨床疑問に取り組むことが最も重要であるかを判断するのに役立つ。

難民、亡命希望者、国内避難民のメンタルヘルス問題の促進、予防、治療に関するシステマティックレビューとシステマティックレビューのプロトコルを検索した。メンタルヘルスの促進には、例えば、子どもたちのための教室ベースでのウェルビーイング(良好性)介入が含まれていてもよい。例としては、心的外傷後ストレス障害を予防するためのトラウマ中心療法がある。治療としては、例えば、うつ病の心理療法などが考えられる。23件のシステマティックレビューと進行中の15件のシステマティックレビューのプロトコルがあることが分かった。23件のシステマティックレビューを合わせると336件の研究が含まれ、そのうち175件は固有の研究であった。レビューでは、国内避難民よりも難民や亡命希望者の方が多く、子どもよりも大人に焦点を当てていることが多かった。心的外傷後ストレス障害の治療については、メンタルヘルスの促進や予防、うつ病や不安症の治療よりも注目されていた。認知行動療法、ナラティヴ・エクスポージャー・セラピー、統合的療法・対人関係療法の研究は、レビューに含まれる可能性が最も高かった。

レビューの質は様々な問題によって制限されており、その多くはレビューの方法の報告が不十分であることに関連していた。

システマティックレビューから得られるエビデンスは、非自発的移民の精神的健康に対するエビデンスに基づく介入の必要性と一致しない場合がある。レビューの著者は、国内避難民、子ども、うつ病や不安を持つ人などの関連するグループや、メンタルヘルスの促進や予防、心理療法以外の治療などが関連する介入を考慮すべきである。

訳注: 

《実施組織》阪野正大、小林絵里子 翻訳[2020.11.10]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013458.pub2》

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