要点
包括的な検索を実施したが、体圧分散型椅子が褥瘡の予防や管理に役立つかどうかを調べた研究は見つからなかった。これは重要なテーマであり、このような椅子が褥瘡を発症するリスクのある人々に有益かどうかを判断するために、質の高い研究が必要である。
褥瘡とは何か?
褥瘡は、長時間の圧迫により皮膚やその下の組織に生じる傷である。座ることは回復の過程で重要な役割を果たすが、長時間座ることは褥瘡の発生リスクを高める。
褥瘡はどのように管理されているのか?
長時間座っているときにかかる皮膚への圧力を分散させることを目的としたクッションや表面素材が使用される。車いすに体圧分散クッションを使用した場合の効果については、一般的な椅子よりも研究が多く存在する。
現在、体圧分散型椅子が標準的な椅子と比較して、リスクのある人々の褥瘡を予防または管理するためにどの程度効果的であるかは分かっていない。
体圧分散型椅子には、クッションや手動または機械で動かす機能がない一般的な病院用椅子や住宅用椅子から、体圧分散をする素材を使用し、人が座るとリクライニング、起き上がり、チルトの機能があるものまで、さまざまなものがある。これらは、標準的なデザインで製作するか、または、その人のニーズに合わせたオーダーメイドのデザインも可能である。
何を知りたかったのか?
医療、リハビリテーション、ソーシャルケアの現場や、人々が一日を過ごす住居で、褥瘡の予防や管理に、体圧分散型椅子がどれほど有効であるかを検証した。
実施したこと
褥瘡の予防や管理について、体圧分散型椅子を評価した出版済みおよび未出版の研究を検索した。言語、出版日、研究状況による制限は設けなかった。
わかったこと
褥瘡の予防や管理に対する体圧分散型椅子の効果を調査した、試験が終了している、または登録されている試験計画において適格な研究は見つからなかった。
褥瘡の予防や管理における体圧分散型椅子の役割を支持、または否定する質の高いエビデンスは現在存在しない。
これは優先分野であり、厳密で堅実な研究によってこの介入の効果を探る必要がある。
このレビューの更新状況
このレビューのエビデンスは、2021年7月までのものである。
《実施組織》堺琴美、冨成麻帆 翻訳[2022.03.02] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013644.pub2》