ランダム化比較試験のプロトコルや臨床試験登録サイトの登録内容と公表された報告書との比較

研究の一部を報告しないことや、研究の結果の一部のみを選択的に報告することは、ランダム化試験やランダム化試験を対象としたシステマティックレビューなどの研究の問題点として指摘されてきた。何を報告すべきか、何を未発表にしておくべきかの判断が、試験で得られた結果に基づいて行われている場合、バイアスが生じたり、研究の利用者が誤解してしまう可能性のある結論につながる。試験で計画されたことや行われたことと、最終的に報告されたこととの間に矛盾があるかもしれないかどうかを確認する一つの方法は、その試験のためのプロトコルまたは臨床試験登録サイトの登録内容を、その公表された報告書の内容と比較することである。このことから、試験の登録内容や計画と最終的な分析の間に変更があったことが明らかになるかもしれない。バイアスのリスクが低く抑えられていることを読者や試験結果を利用する人に保証するために、このような変更は公表された報告書に記載されるべきである。

このコクランの方法論レビューでは、プロトコルや臨床試験登録サイトの情報を試験グループの公表された報告書と比較した他の研究者による研究をレビューすることで、試験の何らかの側面において矛盾が検出されたかどうかを確認することで、ランダム化試験の報告を検証している。このレビューでは16件の研究を取り上げたが、その結果、プロトコルや臨床試験登録サイトに記載されている情報と、ランダム化試験の公表された報告書に記載されている情報との間には、しばしば不一致があることが示された。これらの不一致は試験の多くの側面をカバーしており、公表されている報告書には説明されておらず、記載もされていない。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2020.07.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000031.pub2》

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