同時化学放射線療法は、局所進行子宮頸癌において全生存期間と無増悪生存期間を改善させると考えられる。また、局所および遠隔再発も減少させると考えられ、これは同時化学放射線療法には放射線増感および全身への細胞傷害効果があることを示唆している。いくつかの急性毒性が増大するが、長期的な副作用は依然として明らかでない。
米国国立癌研究所は1999年2月の警告で、5件のランダム化比較試験(RCT)からのエビデンスに基づき、すべての子宮頸癌患者について同時化学放射線療法を考慮すべきであると報告した。
局所進行子宮頸癌について、同時化学放射線療法を放射線治療と比較している既知のすべてのRCTをレビューする。
電子データベース、試験登録、発表済みの試験登録の参考文献リストを検索した。総説論文も検索した。
本レビューには、試験群において同時化学放射線療法を放射線治療と比較していた子宮頸癌に関するRCTが含まれる。さらなる補助化学療法またはヒドロキシ尿素を許容した試験も含めた。試験群において放射線増感剤または放射線防護剤を使用していた試験は除外した。
2名のレビューアが試験を含めるかどうかについてレビューし、データを抽出した。無イベント期間のアウトカム(生存期間、無増悪生存期間)に関するメタアナリシスのため、可能であれば試験報告からハザード比(HR)を抽出または推定した。多くの報告では全体的な局所再発率および遠隔再発率のみが提示されていたため、再発率のオッズ比(OR)のみは算出できたが、これには再発までの時間や打ち切りまでの時間を考慮に入れていない。急性毒性を適切に報告していた試験は少ししかなかったが、可能な場合は急性毒性の主な種類と重症度についてORを計算した。固定効果モデルを用いて、個々の試験のHRおよびORを、すべての試験全体で統合した。晩期毒性に関する詳細な記述は稀であり、このため定性的なレビューのみが可能であった。
最初のレビューは、4,580例の患者を対象とした19件の試験(発表済みの試験17件および未発表の試験2件)に基づいた。今回の改訂には24件の試験(発表済みの試験21件、未発表の試験3件)および4,921例の患者を含むが、患者の除外および報告の相違のため61~75%が解析に利用できた。本レビューから、化学放射線療法は白金が使用されたかどうかにかわりなく全生存期間および無増悪生存期間を改善させることが強く示唆され、絶対利益はそれぞれ10%および13%であった。しかし、これらのアウトカムについては統計学的な異質性がある。高い割合でⅠ期およびⅡ期の患者を含む試験で効果が大きかったことを示す多少のエビデンスがあった。化学放射線療法は局所再発に対する有意な利益も示し、遠隔再発に対する利益を示唆した。血液学的および消化器系への急性毒性は、同時化学放射線療法群で有意に顕著であった。治療の晩期効果は十分には報告されておらず、このためこれらの作用に対する化学放射線療法の影響を適切に判定することができなかった。治療に関連した死亡は稀であった。