αグルコシダーゼ阻害薬が2型糖尿病患者の死亡率または罹病率に影響を及ぼすかどうか、依然としてはっきりしない。ただし、血糖コントロールおよびインスリン値には有意な効果を示したが、脂質および体重には統計的に有意な効果はなかった。αグルコシダーゼ阻害薬を長期間にわたって使用した場合は、これらの効果が現れるかどうか確実性が低い。アカルボースの用量が50mg TIDを超える場合は、グリコヘモグロビンに対する効果は増大しないが、有害作用が多くなる。スルホニル尿素に比べαグルコシダーゼ阻害薬は、空腹時および負荷後インスリン値を低下させ、血糖コントロールおよび有害作用に関する特性は劣っている。
アカルボースやミグリトールなどのαグルコシダーゼ阻害薬は、2型糖尿病の血糖コントロールを改善する可能性がある。これらの薬剤の真の価値は、特に糖尿病に関連する死亡率および罹病率に関して、いまだ文献のシステマティック・レビューおよびメタアナリシスにより検討されていない。
2型糖尿病患者におけるαグルコシダーゼ阻害薬の効果を判定する。
コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、Current Contents、LILACS、進行中の試験のデータベース、αグルコシダーゼ阻害薬に関する総説の参照文献リストを検索し、このほかの試験について専門家およびメーカーに問い合わせた。最終検索日:2003年12月(Current Contents)および2003年4月(このほかのデータベース)
2型糖尿病患者を対象に、αグルコシダーゼ阻害薬と他のあらゆる介入法を比較している試験期間12週間以上のランダム化比較試験。死亡率、罹病率、QOL、血糖コントロール、脂質、インスリン値、体重および有害事象のうち、ひとつ以上をアウトカムとして含めている試験を組み入れた。
2名のレビューアが独立して、抄録をすべて読み、品質を評価し、データを抽出した。不一致があった場合は、合意に達することで解決するか、第3のレビューアの判定により解決した。統計専門家が、データベースに入れた抽出データをすべてチェックした。データの説明を求めて、著者全員に問い合わせを試みた。
41件の試験(参加者8130名)を組み入れた。30件はアカルボース、7件はミグリトール、1件はボグリボースを検討しており、3件は異なるαグルコシダーゼ阻害薬を比較した試験であった。大半の試験で試験期間が24週間であり、1年を超える十分な長さの試験は2件だけであった。アカルボースは、プラセボに比べ血糖コントロールに明瞭な効果を示しており、グリコヘモグロビン-0.8%(95%信頼区間-0.9~-0.7)、空腹時血糖値-1.1mmol/L(95%信頼区間-1.4~-0.9)、負荷後血糖値-2.3mmol/L(95%信頼区間-2.7~-1.9)であった。アカルボースのグリコヘモグロビンに対する効果は用量依存性ではなかった。負荷後インスリン値を低下させる効果がみられ、脂質および体重には臨床的に関連性のある効果はみられなかった。有害作用の大半が胃腸由来のものであり、用量依存性であった。スルホニル尿素に比べアカルボースは、空腹時および負荷後インスリン値をそれぞれ-24.8pmol/L(95%信頼区間-43.3~-6.3)および-133.2pmol/L(95%信頼区間-184.5~-81.8)低下させ、有害作用が多かった。