十二指腸乳頭部癌および膵癌に対する外科療法としての幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(pp Whipple)と膵頭十二指腸切除術(従来のWhipple)の比較

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著者の結論: 

2つの手術の間で死亡率、罹病率、生存に関連性のある差を示すエビデンスは認められない。明らかな臨床的および方法論的な異質性を考慮すれば、今後さらなる研究を行い、適切に定義したアウトカムパラメーターに基づき、複合的な外科的介入を対象とする質の高いランダム化比較試験を実施する必要がある。

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背景: 

膵癌は、癌による死亡の原因の中で男性では第4位、女性では第5位を占めている。切除可能な腫瘍に対する標準治療は、従来のWhipple(CW)手術または幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPW)のいずれかである。生存、死亡率、合併症、生活の質という点でどちらの手技がより有利であるのかは明らかになっていない。

目的: 

本システマティック・レビューの目的は2つの手術の有効性を比較することである。

検索戦略: 

2006年3月28日から2011年1月11日まで検索を行い、すべてのランダム化比較試験(RCT)を同定した。言語の制限は適用しなかった。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、コクラン・ライブラリ(2010年、Issue 4)のCDSRおよびDARE、MEDLINE(1966年~2011年1月)、EMBASE(1980年~2011年1月)の電子データベースを検索した。Digestive Disease WeekおよびUnited European Gastroenterology Weekの抄録(1995年~2010年)も検索した。2011年にシステマティック・レビューを更新した時点では追加の試験は同定されなかった。

選択基準: 

十二指腸乳頭部癌または膵癌の患者を対象としてCWをPPWと比較しているRCTを適格とした。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に、選択した研究からデータを抽出した。データの統合のためにランダム効果モデルを用いた。2値アウトカムはオッズ比(OR)を用いて比較し、連続アウトカムは平均差(MD)を用いて統合し、生存のメタアナリシスにはハザード比(HR)を用いた。2名のレビューアが別々に、コクランの基準に従って、方法論的な質を評価し、選択した研究のバイアスのリスクを評価した。

主な結果: 

合計465例の患者を対象とする6件のランダム化比較試験を選択した。批判的評価によって、方法論的な質とアウトカムパラメーターに関して大きな異質性があることが明らかになった。院内死亡率[OR 0.49、95%信頼区間(CI)0.17~1.40、P = 0.18]、総生存(HR 0.84、95%CI 0.61~1.16、P = 0.29)、罹病率に有意差は認められなかった。しかし、手術時間(MD -68.26分、95%CI -105.70~-30.83、P = 0.0004)と術中失血量(MD -0.76 mL、95%CI -0.96~-0.56、P < 0.00001)はPPW群で有意に減少したことが認められた。すべての有意な結果は、GRADE基準によれば、エビデンスの質が低かった。