論点
CINの治療は子宮頸部(子宮の下部)の前癌細胞を取り除くためにコルポスコピー外来で行われることがある。治療には電気で加熱したワイヤー(ジアテルミー法)やレーザーを使って子宮頸部から病変を除去したり、凍結法で異常な細胞を破壊したりする方法がある。これは痛みを伴う可能性がある。
レビューの目的
このレビューの目的はコルポスコピー治療において鎮痛の方法があるとすれば、どの方法を使うべきかを知ることである。
得られたエビデンス
2016年3月までの19件の臨床試験を同定した。これらはコルポスコピーの実施前、実施中、実施後に行われた種々の鎮痛について報告していた。2つの小規模な試験のエビデンスによると、コルポスコピー治療を受けた患者において、子宮頸部への局所麻酔薬と血管収縮薬(血管を狭くする薬)の混合注射はプラセボ(偽の治療)と比較して痛みと出血を少なくした。ほとんどのガイドラインで治療の前に経口鎮痛薬(イブプロフェンなど)を服用するよう推奨されているが、2つの小規模な試験ではこの方法が痛みを軽減しないというエビデンスが示されていた。
エビデンスの質
ほとんどのエビデンスの質が低度から中等度であり、これらの知見は今後の研究で変わる可能性がある。
加えて、子宮頸部へ投与する局所麻酔薬の量や投与方法についてのエビデンスは得られなかった。
結論
外来でのコルポスコピー治療にどんな鎮痛法を使用すべきか判断するのに必要なデータを得るためには、十分な症例数を備えた質の高い試験が必要である。
《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2020.07.27]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006120.pub4》