持続性インスリン製剤は夜間血糖値に対して有益な効果をもたらすようである。全般的な糖尿病コントロールに対するそれらの効果は臨床的に顕著ではない。1型糖尿病に対する持続性インスリン製剤の基本的インスリンレジメンとしての使用についてはさらなる実証が必要である。
1型糖尿病は短期的および長期的な合併症を伴う慢性疾患である。治療目標は、高血糖症状を排除し、細小血管および大血管の長期的合併症を軽減させ、患者に通常の生活スタイルを可能にさせることである。中間型インスリン製剤または持続性インスリン製剤は、インスリン依存型患者に基礎インスリン補充の達成を可能にする。
1型糖尿病患者を対象に基礎インスリン補充に対する中間型インスリン製剤および持続性インスリン製剤の効果を比較評価する。
参考文献リスト、実施中の試験のデータベース、選択した試験の著者への請求資料に加え、MEDLINE、EMBASE、コクラン・ライブラリを検索した。
1型糖尿病患者を対象に持続性インスリン製剤と中間型インスリン製剤を比較しているランダム化比較試験。
2名のレビューアが独自に表題を詳細に調べた。データを抽出し、適宜解析した。
23件のランダム化比較試験を同定した。介入群計3872例およびコントロール群計2915例について解析した。糖化ヘモグロビン値の重み付け平均差(WMD)は-0.08(95%信頼区間(CI)-0.12~-0.04)であり、持続性インスリン群の方が良好であった。空腹時の血漿中および全血中血糖値における群間でのWMDはそれぞれ-0.63(95%CI-0.86~-0.40)および-0.86(95%CI-1.00~-0.72)であり、持続性インスリン群の方が良好であった。中間型インスリン投与群患者に対する持続性インスリン投与群患者での低血糖の発現オッズ比(OR)は0.93であった(95%CI 0.8~1.08)。重度の低血糖エピソードに対するORは0.73(95%CI 0.61~0.87)、夜間のエピソードに対しては0.70(95%CI 0.63~0.79)であった。100患者・追跡日あたりの低血糖イベントについて、持続性インスリン投与群と中間型インスリン投与群との間でのWMDは、全般的な低血糖イベントで-0.77(95%CI -0.89~-0.65)、重度の低血糖イベントで-0.0(95%CI-0.02~0.02)、夜間低血糖イベントで-0.40(95%CI-0.45~-0.34)であった。体重増加はコントロール群の方が顕著であった。重度の有害事象および死亡とも質・量で差はなかった。