妊娠初期のルーチンに行う超音波検査と選択的超音波検査の比較

超音波検査は、パルス状の高周波音(超音波)の反射を利用して画像を生成する電子技術である。超音波検査は、妊娠中のさまざまな状況で使用される。妊娠初期のルーチンに行う超音波検査は、臨床的合併症(妊娠初期の出血など)の後や胎児の成長に懸念があるなど、特定の症状や条件に対して選択的に使用する場合と比較して、異常の早期発見や妊娠合併症の管理の改善につながることが想定されている。

このレビューは、妊娠初期(24週以前)でルーチンに行う超音波検査に焦点をあてている。このレビューでは、37,505人の女性を含む11件のランダム化比較試験を対象とした。初期の超音波検査では、多胎妊娠の早期発見と妊娠週数の特定が改善された。その結果、成熟期以降の分娩誘発が少なくなることが期待される。胎児の奇形の検出については、2試験でのみ詳細に扱われていた。周産期死亡については、スクリーニング群と対照群との間に有意差を示すエビデンスはなかった。この結果は、ルーチンに行う超音波検査が赤ちゃんの有害な転帰を減らすこと、母親と赤ちゃんの医療サービスの利用を減らすことを示すものではない。出生前に超音波検査を受けた子どもの長期追跡調査では、超音波が子供の身体的・知的発達に有害な影響を与えることは示されなかった。このトピックに関する研究は30年以上にわたり行われ、機器の技術的進歩、超音波検査の普及、検査実施者の訓練と専門知識の向上が、より効果的な超音波検査をもたらしたと考えられる。

訳注: 

《実施組織》増澤祐子、杉山伸子 翻訳 [2022.06.08]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007058.pub3》

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