限局した歯肉退縮に対する根面被覆術として、SCTG、歯肉弁歯冠側移動術単独、生体材料やGTR法を併用した歯肉弁歯冠側移動術が適用可能である。根面被覆と角化歯肉幅増加の双方が期待される症例では、上皮下結合組織移植術が適切である。各歯周形成外科手術の予後に関連する可能性のある因子を特定するために、ランダム化比較試験が必要である。このようなアウトカム指標に対するバイアスの影響については、不明である。
歯肉退縮は,歯肉辺縁がセメント-エナメル境より根尖側に位置し,根面が露出した状態と定義され、通常は審美的な問題を伴う。歯肉退縮に対する根面被覆を成功させるためには、予知性の高い歯周形成手術を適用する。
歯肉退縮部位に対する種々の根面被覆術の効果を評価すること。
Cochrane Oral Health Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials, CENTRAL, MEDLINE、EMBASEを2008年10月まで検索した。主要な歯周病に関する国際誌のハンドサーチも行った。出版の形態や言語による制限は設けなかった。
3mm以上の歯肉退縮部位(Miller分類でⅠ級もしくはⅡ級)に対して歯周形成手術によって治療を行い、最低6か月の経過を評価したランダム化比較試験(RCT)だけを対象とした。
適格な研究の選別、研究方法やデータ抽出に関する方法論的な質の評価は、2人のレビュアーにより別々に行った。また、情報にかけたところがある場合には、著者にコンタクトをとった。結果は、連続変数のアウトカム指標に対してはランダム効果モデルによる平均差、二値変数のアウトカム指標に対してはリスク比と95%信頼区間を示した。
24件のRCT研究を本レビューに含めた。1件の研究のみが、バイアスのリスクが低いと考えられた。残りの他の研究は、すべてバイアスのリスクが高いと考えられた。吸収性メンブレンを用いた組織誘導再生法(GTRrm)に比べて、上皮下結合組織移植術(SCTG)は、有意な歯肉退縮量の減少と角化歯肉幅の増加を示した。角化歯肉幅の有意な増加は、歯肉弁歯冠側移動術(0.4mm)に比べたエナメル基質タンパク、骨補填材を併用したGTRrmに比べたSCTGで認められた。審美的な状態の変化に関する、特定の手術に対する患者の意見や選好は、ほとんど報告されていない。